『アリガト謝謝』、木下諄一著、講談社、2017年。

2011年3月の「東日本大震災」発生直後、わが国へ200億円とも250億円ともいわれる世界最多の義捐金を送ってくれた台湾。

本書は、この義捐金にまつわるたくさんのエピソードを綴った、実話に基づく小説です。
心温まる佳作でした。

前半は、台湾の主婦やおばあさん、芸能人、小学生、大学生、社会活動家、菓子舗の経営者など、さまざまな人々がそれぞれの場所で支援に立ち上がる様子を描いています。
当時、困難の渦中にあった日本のことを想い、台湾全土で同時多発的な「草の根」募金活動が展開されたのでした。
じわりじわりと義捐金額が増えてゆきます。

後半は、台湾からの厚情を意気に感じたひとりの日本人女性が、同国へ向けて報恩活動を推し進める話でした。
そのかたは活動を「謝謝台湾計画」と名づけます。
政府が台湾へきちんと返礼しなかった事実に鬱屈していた他の日本人たちの反応も描写されていました。

前半・後半のどちらもが感動的で、わたしはページを繰りつつ幾度も涙ぐみました。

いちばん「ウルッ」ときたのは、謝謝台湾計画の女性が台湾へ謝意を表する新聞広告費の寄付を日本国内において募ったシーンです。
数日後、彼女はどれくらい入金されたかを確認するため、銀行で記帳しようとしました。
ところが、ある事情でATMが作動せず、金額がわからないという結果にいたりました。
なぜ作動しなかったのかについては、「ネタばらし」となるため、本項では紹介できません。

作者(1961年生まれ)は台湾在住の日本人。
台湾と日本のあいだに正式な国交がない状況下、このように緊要な物語を出版してくださったことに感謝いたします。
同じテーマの次作を期待します。

わたしもまた台湾から頂戴したご支援を心からありがたく思っている者です。
ありがたく思うあまり、台湾で大きな事故や災害が起こった際には、些少ですが寄付をさせていただくようになりました。

新北市の「八仙水上楽園爆発事故」(2015年)を知って、計2回、被災者の若者たちに御見舞金を送りました。
2016年、「台湾南部地震」が生じたときにも、同様のことをしました。

送ったつど担当各位からご丁寧な御礼状をお受け取りし、「台湾と日本は価値観があたりまえに通じ合う関係なのだな」と感じています。

われわれ日本人は台湾人が寄せてくれた真心を忘れてはなりません。

忘れないだけではなく、場合に応じて台湾のために何らかの行動を起こすべき、ご恩返しをすべき、ではないでしょうか。

とにかく、多謝台灣、台灣與日本是最好的朋友、です。

金原俊輔