『あの会社はこうして潰れた』、藤森徹著、日経プレミアシリーズ、2017年。

わたしは40数年前、19歳だったときに東京へ行き、高田馬場に住みました。

知人がおらず、することもなかったため(予備校生でしたが授業はぜんぜん受けませんでした)、毎日、仕方なくひとりで駅の周辺をブラブラしていました。

芳林堂書店という大きな本屋さんがあり、わたしは蔵書の多さおよび落ち着いた雰囲気が好きになって、しょっちゅう入店したものです。

長時間の立ち読みに満足したのち、財布が許す範囲でなんらかの書籍を購入していました。

イザヤ・ベンダサン著『日本人とユダヤ人』、山本書店(1970年)
高野悦子著『二十歳の原点』、新潮社(1971年)
勝海舟語録『氷川清話』、角川文庫(1972年)
秋月辰一郎著『死の同心円:長崎被爆医師の記録』、講談社(1972年)
小松左京作『日本沈没』、光文社カッパ・ノベルス(1973年)
高木彬光作『成吉思汗の秘密』、角川文庫(1973年)
樋口清之著『梅干と日本刀:日本人の知恵と独創の歴史』、祥伝社(1974年)

などを求めた記憶があります。

マンガでは、
土田よしこ作画『つる姫じゃ~っ!』、集英社(1974年~1980年)
のシリーズを集めました。

1976年「アメリカ建国200周年」を記念したのでしょう、ノーマン・ロックウェル(1894~1978)のイラスト画集も置いてありましたが、これは高価すぎて買えませんでした……。

とにかく、たいへんお世話になったお店です。

その芳林堂書店、残念ながら倒産してしまったことは、インターネットの記事で知っていました。

原因についてまでは知識がなかったものの、『あの会社はこうして潰れた』内で簡潔に説明されていました。

「同業他社との競争に敗れた」「もたれ合っていた取次店が廃業した」、以上が直接的原因だった由です。

芳林堂書店の件だけではありません。
本書では30社を超える企業や施設の没落が語られています。

つい先日まで飛ぶ鳥を落とすような勢いであっても、老舗であっても、経営者が高学歴であっても、人気アイドルが関与していても、つぶれる会社はつぶれる、という厳しい現実が書きこまれた内容でした。

ビジネスのおそろしさを痛いほどに感じさせられる一冊です。
経営に携わる人はぜひ読んでおくべきと思いました。

なお、わたしがこの本の存在を知ったのは、購読している長崎新聞の日曜「読書」欄に載っていたからです。

とてもありがたい情報でした(ちなみに、長崎新聞社様は弊社の顧客です)。

金原俊輔