『米韓同盟消滅』、鈴置高史著、新潮新書、2018年。

2018年後半の現在、アメリカ合衆国および大韓民国間の軍事同盟に亀裂が入りだしており、このまま進行するとアメリカが業を煮やして韓国から撤退しかねない。

そうなった場合、韓国は外交的な孤立を避け、中国側に身を寄せる展開となるだろう。

韓国が中国の勢力圏に加われば、日本は(地理的に)単独で中・韓・朝の3カ国に対峙しないといけなくなる……。

本書は、以上の想定を、米韓高官諸氏の寄稿・談話、韓国における各種新聞の記事・社説、インターネット上の情報、などを交えつつ検証したルポルタージュです。

おもに語られた国は、アメリカではなく、韓国でした。

鈴置氏(1954年生まれ)は、元・日本経済新聞社のソウル特派員。

韓国語が堪能でいらっしゃる模様で、逐一根拠を示しながらの考察です。

韓国内の混沌とした政治情勢や法治社会とはいいがたい偏りが詳述されました。

さて、『米韓同盟消滅』のキーワードは、意外にも「中二病」。

韓国は「中二病」という言葉を日本から輸入し、同じ意味で使っている。ネットなどで、青臭い言動を中二病-中学校2年生前後の背伸びしがちな言動や自意識過剰な想像-と揶揄するのも同じだ。(pp.121)

そして著者は、たとえば、

強国に成長したのにイメージは昔のまま。こんな不満が韓国紙には年中、載る。そのもっとも効果的な処方箋が、世界で「韓国は日本よりも上の国」と広めることなのだ。
そもそも「すごい自分を知ってほしい」という発想こそが中二病の本質である。(PP.151)

こうした状況につながっている、という分析をなさいました。

卑近な具体例は、2002年におこなわれたサッカー・ワールドカップです。

イタリア戦とスペイン戦で韓国が審判を買収したとの疑惑が報じられた。韓国のサポーターは翌日対戦するポーランドチームの宿泊するホテルの前で大騒ぎし、眠らせない作戦に出た。
世界中から韓国の卑劣なやり方を非難する声が上がった。だが、韓国人はまったく気にしなかった。ワールドカップで勝ってこそ「自らには特別な力がある」ことを示せると信じたからである。(PP.125)

買収のほうは「疑惑」ですので、ここでは論じません。

いっぽう、ホテル前での大騒ぎの件は、実話の由。

まさに一部中学生のごとき短絡的反応です。

大人ならば、自国の勝敗はどうあれ、海を越えてやってきた外国選手たちに翌日の試合でベストを尽くせる環境を整えてあげる配慮こそが、世界から「力がある」旨の評価を獲得する格好の手段であることを、わかっていたはずです。

そもそも中二病という言葉には「やがて、その子は現状を脱し、大人に成長してゆく」という意味が込められているのではないでしょうか。

本書が描出したこれまでの韓国のありかた(とくに日本に対するありかた)を読むと、同国において本当に脱皮が起こるのかどうか疑問を感じざるを得ませんし、著者も同様のご懸念をおもちでした。

中二病が病膏肓に入らなければ良いのですが……。

わたし個人としては、日韓両国の関係改善を期待する反面、もはや無理かもしれない、とも思っています。

せめて、韓国はアメリカとのあいだがらを大切にしてほしい、と願います。

金原俊輔