最近読んだ本385

『新・日英同盟:100年後の武士道と騎士道』、岡部伸著、白秋社、2020年。

日本は1902年から1923年までイギリスと軍事同盟を結んでおり、これは「日英同盟」と呼ばれていました。

そして、2020年現在、

日本とイギリスのあいだには、ユーラシア大陸を挟んで約9300キロという遠大な距離が存在する。しかし日英両国は、どちらからともなく、軌を一(いつ)にして、互いに相手を必要として接近しているのだ。
日本の指導者は、中国にすり寄るよりも、イギリスとの関係をさらに強固にすべきである。(pp.45)

こんな状況が生じつつあるそうです。

別の評論家も似た感想書評をお書きになっていたので、じっさい、同盟復活的な潮目があらわれだしているのでしょう。

著者(1959年生まれ)は産経新聞社の論説委員。

以前、同社のイギリス・ロンドン支局長をお務めになっていました。

そのときのご見聞やご勉強をもとに本書を上梓されたのです。

当然ながら日本とイギリスの接近に関する話題が多く、

2017年8月30日、(中略)メイ首相は、アジア諸国を歴訪するのではなく、安倍晋三首相と会談する目的だけに日本を訪問したのである。(中略)
メイ首相は、日本は「アジアの最大のパートナーで、like-minded(同志)の国」だと評した。イギリス人が「like-mindedの国」という表現を使うのは、オーストラリアやニュージーランド、あるいはカナダなど、英連邦のなかでもイギリスと関係が強い自治領の「兄弟国」だ。(pp.42)

政治家ばかりではありません。

「日本はアジアのイギリス。イギリスはヨーロッパの日本。双子のように似たもの同士ですね」
産経新聞ロンドン支局に助手として勤務していた、当時30歳のジョン・ビショップ君は、よくこう話していた。(pp.144)

一般の英国人も我が国への親近感を示している由でした。

国民の65パーセントが日本にたいし好意的らしいです(2014年調査)。

理由として、どちらもユーラシア大陸の端にくっつく島国である(pp.24)、皇室・王室を有している(pp.156)、お茶の文化が根づいている(pp.149)、武士道精神と騎士道精神の近しさ(pp.200)、などがあげられていました。

いっぽう『新・日英同盟』は明るい史実や逸話のみにページを割いてはおらず、第二次世界大戦中の日英間の激しい戦闘および日本軍による英兵捕虜虐待もしっかり語っています。

バランスを欠いていないと感じました。

著者が訴えたい最重要な事柄のひとつは、

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドという英語圏アングロサクソン5カ国が構成する機密情報ネットワーク「ファイブ・アイズ」との連携を強化し、イギリスと自由貿易協定(FTA)を締結し、環太平洋経済連携協定(TPP11)に米英を巻き込んで、中国に対抗することを目指すべきだ。(pp.3)

でしょう。

わたしも賛成いたします。

以上、良い読物ではありました。

ただ、おなじ情報がたびたび書内に登場する傾きには往生し、なんだか文章の「無限ループ」界に迷いこんでしまったかのような気分になってしまいました。

金原俊輔

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