最近読んだ本409

『サブカルズ:千夜千冊エディション』、松岡正剛著、角川文庫、2021年。

上掲書を読書中、松岡氏(1944年生まれ)の旧作「最近読んだ本334」を繙(ひもと)いていた当時とおなじく、ページから情報の洪水が押し寄せてきて、まるで咀嚼できない自分に落胆しました。

学殖豊かな氏が無尽蔵の知識をからませつつ「サブカルチャー」に係る書籍多数を考察された書評集です。

書評のなかであつかわれた対象は、海外のクールな人々および芸術、日本のマンガ、アニメ、ゲーム、それらに関与するオタクたち、などでした。

一言でいえば、日本のクールは「数寄と傾奇(かぶき)の感覚」にこそあらわれてきた(後略)。(pp.119)

クールとは「安易な変化を嫌う変化のスタイル」なのである。(pp.119)

意味は理解できないものの、これほどの書き手がこうおっしゃるということは、きっとそうなのでしょう。

映画研究者のスーザン・ポイントンは、「日本のアニメの驚くべきところは、物語がアメリカ人受けになるようにはまったく折衷されていない点である」と書いた。なんだ、アメリカ人はそんなところしか評価しないのかと言いたくなるが、そうなのだ。(pp.289)

あんがい要所をついているのではないかと思われるコメントを紹介しながら、それを語られる文章に鋭い「切れ」を閃かせています。

さて、サブカルチャー。

サブカル日本とは何なのか。わかるようで、わからない。(pp.200)

著者が全力を傾け浮き彫りにしようとなさっているサブカル自体も物凄く、わたしごときは何も知らなさすぎて尻尾を巻き退散するしかない世界でした。

日本のアニメにおいて、とりわけディストピア性とゾーン性が格別な意味をもってきたことは強調しておいていいことだろう。実は、すでに『ゴジラ』がそうだったのだ。また『大魔神』がそうだった。(pp.299)

「ゾーン性」というのがよく分らないけれども、たぶんそのとおりなんだろうと考えます。

ところで、『サブカルズ』においてわが国のマンガやアニメやゲームが吟味されたことはすでに述べたとおりですが、昨今評判の「ゆるキャラ」については言及されていませんでした。

松岡氏がサブカルチャー解析へ突入したのち、本書168ページでおつかいになった「うざったい」の語、301ページでお書きになっている「ナンセンス性」、319ページ「遊び心」、左記の事象あるいは現象が交錯し「ゆるキャラ・ブーム」につながっているのではないかと推察いたします。

ゆるキャラって「うざったく」「ナンセンス」な存在で、しかし日本人はそんなうざったさ・ナンセンスさを楽しむ「遊び心」を有しており、社会的なブームに結実したのではないでしょうか。

わたしには『サブカルズ』そのものをコメントする教養が不足しているため、こういうどうでも良い意見を書いて対応するしかありませんでした……。

金原俊輔

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