『学者は平気でウソをつく』、和田秀樹著、新潮新書、2016年。

長いあいだ活発な執筆活動をなさっている和田氏(1960年生まれ)の最新作です。

おもに医師とカウンセラーがつくウソに疑義を呈している内容でした。

そのあと、付け足しのような感じで、経済学者・教育学者・数学者・社会学者などの各種ウソを俎上に載せています。

読了後、

(1)医師やカウンセラーは基本的に臨床家であって学者ではないこと、

(2)経済学者だの教育学者だのはたしかに学者であるものの、本書において彼らのウソを指摘する紙数が十分ではなかったこと、

以上の2点から、わたしは「書名に偽りあり」という感想をもちました。

ただし、書かれていた内容には賛同します。

なかでも、「エビデンス(証拠)」が大事である、学者はエビデンスを土台にしてものごとを考えなければならない、という和田氏の主張は、実証性が高い(つまりエビデンスに根ざしている)行動主義心理学という学派の末席を汚すわたしにとっては心から納得できるものでした。

行動主義心理学から派生した「認知行動療法」も本書において肯定的に語られています。

ありがとうございました。

心理学者の場合、自覚してウソを語る人たちがいるいっぽうで、ウソをついているという自覚すらもてず、おかしな学説を本気で信じこんでしまっている残念な人々もおられます。

書中、その状況についても少し述べてほしかった気がしました。

金原俊輔