『あやしい探検隊 台湾ニワトリ島乱入』、椎名誠著、角川書店、2016年。

タイトルに書かれている「あやしい探検隊」というのは、著者(1944年生まれ)とその仲間たちのことです。

皆でどこかへ赴き、ビールを飲み、焚き火をし、大いに騒ぐ・・・、おもにそれだけをおこなう探検隊であり、命がけで秘境深山に分け入ってゆくような隊ではありません。

この探検隊の本はシリーズで出版されています。
いい年をした男たちが集合し馬鹿の限りを尽くす、とてもコミカルな身辺雑記です。

わたしはむかし、隊員が蚊の大群に襲われたエピソードを読んだ際に、声をたてて笑いました。

今回の行先は台湾南部でした。

一同、台湾のかたがたのご親切に触れたり、台湾にご迷惑をおかけしたりしながら、例によって徹底的に興じ、盛大な宴会も催します。

それにしてもだ。何でおれたちはここまで遠く南下してきてほぼ連日このようなバカモノ大宴会をしているのだろうか。
いま世界はいろいろたいへんなコトになっているのである。何がどうたいへんなのか全員バカのおれたちにはよく考えてもヒトにちゃんと説明できるほどには何もわかっていないのだが、こんなふうに大勢集まってしまったし、マグロやカツオが釣れてしまったので大宴会をするしかないじゃないか、というリクツもわかってほしい。(pp.126)

卑下するご必要はありません。
このような楽しみをおもちのうえ楽しむための時間も確保できるというのは素晴らしいことで、おそらく多くの読者がうらやましく思うはずです。

わたしはうらやましいです。

話は変わりますが、読んでいて以下の文章が気になりました。

目的地は海岸線を北に三〇キロほど走った「成功の都歴」という名の土地だ。なんだかわからないけれどずいぶん立派で偉そうな地名ではないか。(pp.54)

これは鄭成功(1624~1662)に由来する地名だと考えます。

鄭成功は台湾の英雄であり、近松門左衛門(1653~1725)作『国姓爺合戦』のモデルともなった人物です。
いまの長崎県平戸市で生まれました。

読書好きで有名な椎名氏が鄭成功や『国姓爺合戦』をまったくご存じでない可能性は低いです。

「あやしい探検隊」の珍道中報告に教科書みたいな硬い歴史の記述は似合いませんから、あえて知らないふりをなさったのではないでしょうか。

金原俊輔