『発掘狂騒史:「岩宿」から「神の手」まで』、上原善広著、新潮文庫、2017年。

考古学に携わる大学所属の学者たちや他のお仕事に就いているアマチュアのかたがたの人間模様を描いたノンフィクションです。

登場してくるどなたもが考古学にたいする強い思いを有していらっしゃるようでした。

2000年(平成12年)夏に捏造発覚で世間を騒がせた「神の手事件」についても、くわしい記述がなされています。

おそらく著者(1973生まれ)は当初考古学をよくご存じではなかったのでしょうが、かなり勉強されたみたいです。

ご努力のあとが窺えました。

お疲れさまでした。

考古学とは距離があるものの、心理学という同じ文系の学問に関与しているわたしには、上掲書が非常に興味深く、一気に読み進みました。

そして読了したあとに感じた疑問は、考古学の学術誌の査読システムはどうなっているのだろうか、というものでした。

査読によって秋霜たるチェックがおこなわれていれば、「神の手事件」発生を食い止めることが可能だったと思われたからです。

むろん「STAP細胞事件」のように、きびしい査読を経たにもかかわらず起こってしまった不祥事がありはしますから、査読が完璧とはいえませんが……。

いずれにしてもおもしろい本でした。

書中で、長崎県の福井洞窟のことが2回触れられていました。

考古学的価値をもっている洞窟らしいです。

わたしはむかし、この洞窟がある佐世保市吉井町の中学校でスクールカウンセラーをしていたので、なつかしく思いました。

金原俊輔