『マウンティング女子の世界:女は笑顔で殴りあう』、瀧波ユカリ、犬山紙子共著、ちくま文庫、2017年。

中学校や高等学校のスクールカウンセラーをしているわたしは、女子生徒の交友関係の複雑さ、微妙さ、もろさ、を知っています。

しかし、わたしが知っている(と思いこんでいる)事柄には大きな限界があるでしょう。
男であるわたしが女子同士の世界の中身を了解し尽くせるわけはないですから。

そこで、自分の今後のスクールカウンセリング活動に役立てるために、上掲書を購入しました。

理由はそればかりではありません。

わたしは瀧波氏(1980年生まれ)のマンガ『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社)のファンで、全シリーズを読みました。
マンガを通して氏の鋭い感性を知っていたことも本書を手にした理由のひとつです。

さて、「マウンティング」とは、生物学の言葉。
サルなどの動物が他の仲間に覆いかぶさって「馬乗りのポーズ」をとることです。
これにより相手や周囲に向かい自分の優位性を示します。

『マウンティング女子の世界』では、マウンティングが人間同士(とくに女性同士)においても見られる、とします。

仲良し風の関係を続けたい人が、仲良しでありつつ上下関係を作り出したいときにするのがマウンティング。いじりはマウンティングによってできた立ち位置の差を利用して、マウンティングする側が楽しむ行為かな。(瀧波、pp.126)

このように明確な定義を下したのち、たとえば「親友型」のマウンティング、「カウンセラー型」のマウンティング、「司会型」のマウンティング、などの各論的な例が語られました。

すべて女性が同性に対しておこなうものです。

わたしは当初「なるほど、そういうことだったのか」と、おもしろがりながら読み進んでゆきました。

けれども、だんだん疲れてしまいました。
すこし不快感さえおぼえだしました。

本書で述べられていた内容が人間性の一部分を深くえぐり過ぎていたからです。

女性読者だと身につまされ、わたし以上にきつくなってしまうかもしれません。

瀧波氏と犬山氏(1981年生まれ)の軽快な会話で進展する本書だったものの、結果的に、わたしにはあまり楽しい読書となりませんでした。

金原俊輔