『高倉健:七つの顔を隠し続けた男』、森功著、講談社、2017年。

わたしは高倉健(1931~2014)が出演した映画をごくわずかしか観ていません。

しかし、もちろん国民的人気を有する偉大な俳優でいらしたことは知っています(まあ誰だって知っているわけですが)。

上掲書はそんな高倉の人生を概観した伝記です。

83年間の生涯をつぶさに追った内容ではなく、おもに彼の「七つの顔」に焦点が当てられていました。

たとえば、彼はお酒を飲まなかったため周囲の関係者に「下戸」と受け止められていたものの、本当のところ下戸ではなかったらしいです。

高倉健はアルコールをいっさい口にしないといわれる。だが、実は先天的な下戸ではない。むしろ大酒飲みの口だった。
「酒グセがね、悪いんですよ。モノをこわすクセがあってね」
インタビューでもこう吐露している反面、さすがに言葉を濁している部分もある。(pp.34)

映画界へ入ったことをきっかけに断酒した由です。

こうした禁欲性。
映画において高倉が演じた主人公たちにそっくりといえるでしょう。

義理堅い人物で、肉親への愛情も強く、姪ごさんの防犯の件まで心配していました。

世話になれば礼状を書き、ときには高価な時計などをプレゼントする。高倉健の義理堅さについては、いまや知られたところだ。が、その神経の細やかさとともに、遠く離れた姪に対し、ここまで面倒を見るとは、やはり驚く。(pp.85)

私生活においてはドロドロした揉めごとに幾たびか巻き込まれており、揉めごとはご自身が亡くなられたあともつづきました。

本書においてくわしく記述されています。

ゴシップ的な意味合いでおもしろい作品でしたが、わたしとしては高倉の誠実・崇高な人柄をあらわす諸エピソードをもっとたくさん書き込んでほしかったと感じました。

また、この本では、話が過去から現在に向かって一直線に進むのではなく、年月が行きつ戻りつ、かなり前後しました。

読みづらかったです。

金原俊輔