『葬られたマンガ・アニメ150 超絶句編』、鈴木祐一郎編集、鉄人社、2018年。

種々の事情で販売禁止・放送禁止になってしまったマンガやアニメさらにはゲームを総ざらいした本です。

あつかわれているほとんどが日本の作品でした。

意外にも1955年(昭和30年)生まれのわたしが知っているマンガが少なくはなく、読みながらじゅうぶん楽しめました。

それらは、たとえば『サザエさん』『天才バカボン』『ブラック・ジャック』『マカロニほうれん荘』『おぼっちゃまくん』『キン肉マン』『ゴルゴ13』などです。

なつかしい。

そのうち、わたしがとくに驚いたエピソードを紹介させてもらいます。

1969年にフジテレビ系列で放送が始まった、アニメの『ムーミン』の件です。

原作者はフィンランドのトーベ・ヤンソン(1914~2001、女性)。

日本版アニメの『ムーミン』は、

ヤンソンの原作に登場する挿絵とは大きく違うキャラクターデザインを採用。丸々と太った可愛いキャラが子供たちのあいだで人気を呼んだが、第7話が放送されたところで、原作者のヤンソンからクレームが入った。
「これは、私のムーミンではありません」というのだ。(中略)
放送の後半からキャラデザインを変更。ムーミンの顔つきをシャープに変えたり、ストーリーの雰囲気を変えたりとさまざまな対処を行ったが、それでもトーベ・ヤンソンを納得させるには至らなかった。(pp.6)

以上の由でした。

けっきょく、当該アニメは作者側に放送や新ソフト販売を認めてもらえず、現在、ネット配信さえも制限されているそうです。

わたしは『ムーミン』が好きでした。

おっとりして、くつろげる内容だったからです。

作者における「自分の作品に込めた思いを大切にしたい、大切にしてほしい」という気もちはよくわかります。

ヤンソン氏もご同様だったのでしょう。

ただ、アニメのことは日本人に任せておけばよかったのに……。

ヤンソン氏は才能豊かな作家だったわけですが、当時、日本のアニメ業界にも才能をもった面々が勢ぞろいしており、彼らの牽引(けんいん)によってわが国がアニメ大国へと進展してゆく流れまでは、予想できなかったみたいです。

金原俊輔