『外から見えない世の中の裏事情』、ライフ・リサーチ・プロジェクト編、青春文庫、2018年。

色鉛筆が丸く作られている理由から、火星移住をした人類が地球へ戻れなくなる可能性に関してまで、硬軟おりまぜ、どちらかというと「軟」のほうに偏りつつ、各種話題を解説した本です。

意外な話が山盛りでした。

たとえば、財政破綻をした北海道夕張市。

若者たちが札幌市などの大都市へ移動したため、同市は高齢者数が人口の50パーセントを超える日本一の高齢化自治体となったそうです。

おまけに事業費が切り詰められて、市立病院もなくなった由。

大きな病気にかかってしまえば、遠くの大きな病院にまで行かなくてはならなくなってしまったのだ。
しかし、それが住民にとって不幸の始まりとなったかといえば決してそうではなかった。
高度な医療を施す病院が近くにないから、できるだけ健康に気づかい、介護施設などでも病気の予防に努めた結果、救急車の出動回数が減り、高齢者一人当たりの医療費も下がったのである。
しかも、自宅で最期を迎える老衰による死亡が増加したのだ。(pp.117)

「禍(わざわい)を転じて福となす」と表現すればよいのか、「備えあれば患(うれ)いなし」というべきなのか、たぶん「背水の陣」でもあったろうし、いずれにしても大手医療機関がなくなってしまったピンチが、むしろ高齢者たちにとって望ましい晩年につながったわけです。

わたしは上記の件をインターネット記事で知った記憶がうっすらあります。

このように改めて本で読むと、脳内へ刻みこまれ、自分の人生さらにはビジネスへの指針となりました。

つぎの例は、観光地のライトアップや都会のイルミネーションのせいで起こる「光害」について。

植物は、日光量によって発芽したり、開花したりします。

年がら年中光を浴びていると、それが狂ってくる。もう十分に日光を浴びたと錯覚して春でもないのに芽が吹き出すと、若い葉をエサにしている幼虫が孵化する時期とタイミングがずれて幼虫が育たなくなる。
そして、その幼虫を捕食している鳥や昆虫の数も減る。そうなると昆虫のエサである蚊が大量に発生し、感染病が蔓延する危険性がある。(pp.121)

らしいです。

いわれてみると「ああ、たしかに」と思うものの、いわれるまではまったく考えてもみませんでした。

裏側もふくめた世のなか全般を理解する、格好の資料となり得る一冊でした。

読んでよかったです。

ただ、いくつか微妙な箇所がありました。

第3章の「『日清焼そばU.F.O.』はなぜUFOにドットがついてる?」という項。

Uは「うまい」、Fは「太い」、Oは「大きい」の頭文字で、商品の特徴をうたっているのだ。アルファベットの横についているドットは、いわば句読点のようなものなのかもしれない。ただ、ロゴの下には小さく未確認飛行物体を意味する「UNIDENTIFIED FLYING OBJECT」の文字もある。(pp.109)

英文では、連続した単語を省略する際、省略したことを示すため、大文字に変えたうえで「ピリオド」を打つのが通例です。

ピリオドを省く場合はあります。

アメリカ合衆国の略称でしたら「the U.S.A.」と表記するのが最も正しくて、しかし「the USA」と書いてもOK(正確には、O.K.)です。

焼そば「U.F.O.」に話を戻せば、そう、あれは「ドット」というよりピリオドと見るべきでしょう。

そして、ピリオドは「いわば句読点のようなもの」どころではなく、まさに(アルファベット版の)句点なのです。

金原俊輔