『驚きの地方創生「日本遺産・させぼの底力」:多様性と寛容性が交じり合う魅力』、蒲田正樹著、扶桑社新書、2017年。

長崎メンタルヘルス社は佐世保市の役所・施設・企業とのご契約を多数いただいております。
その関係で、わたしは毎月2~3回佐世保へ行き、仕事をしています。

市内を歩きながらいつも思うのは「長崎市とほぼ同規模の街みたいだ」ということです。

佐世保市の人口は、約25万1千人。
対して、長崎市の人口は、約42万5千人です。

長崎市のほうがひと回り以上大きいものの、佐世保市の賑わいに接すると、全然その差が感じられません。

これは、わたしだけが受けている印象ではないようです。

上掲書の中で紹介されたある対談において、対談者の藻谷というかたは「そもそも佐世保は30万ちょっとの小さな規模の商圏で……(pp.117)」と発言されていました。

25万人をすこし超える実際の人口が、藻谷氏にはもっと多く、30万人強に見えたのでしょう。

なぜなのか?

疑問への回答が本書にくわしく書き込まれていました。

佐世保市の場合、市を活性化させようとする関係各位の意気込みやご工夫が素晴らしく、そしてそれらのほとんどが功を奏しているから、なのです。
とうぜん街なかの賑わいにもつながるわけです。

奏功の代表例は「佐世保バーガー」と「YOSAKOIさせぼ祭り」で、いまや、両者そろって全国区レベルになりつつあります。

ほかにも、イカ、レモンステーキ、かきバーベキュー、入港ぜんざい、三川内焼、洞窟遺跡、九十九島パールシーリゾート、黒島天主堂、水族館「海きらら」などが、虎視眈々とブレイクをねらっている模様です。

他所にアピールできる事物がそうとう豊富な都市です。

おどろいたのは「きらきらチャリティ大パーティ」。

毎年12月の第1水曜日、直線距離1キロのアーケードにテーブルを並べて数千人(これまでの最大は5000人)規模で、佐世保市長の乾杯のかけ声が合図となり、ジェット風船を飛ばし、クラッカー鳴らして大忘年会という、なんとも不思議なイベントです。(pp.103)

わたしは当該行事のことを知りませんでしたが、実に楽しそうです。

佐世保の名産品・行事以外としては「ハウステンボス」「ジャパネットたかた」といった有名企業があります。

より長く土地に根ざしている「佐世保重工業」様もご健在・ご活躍です(弊社の顧客ですので、同社にかぎって敬称をつけさせていただきました)。

本当に元気な佐世保市。

こうした元気さにいたる主な理由として、蒲田氏は「明治22(1889)年に日本海軍の鎮守府がおかれたこと(pp.24)」を挙げられています。

また、「閉鎖的でなく開放的、フレンドリーな土壌(pp.25)」も。

きっとその通りなのでしょう。

佐世保市のご出身ではないのに(長崎県ご出身ですらないのに)著者は佐世保をこよなく愛しておられ、今回のような分りやすい紹介書籍も書いてくださり、わたしは長崎県民として感謝申し上げます。

ありがとうございました。

最後に、同書を読んでいてわたしが最も引きつけられた話題は、海上自衛隊の艦隊カレーライス食べ比べ大会「GC1グランプリ」でした。
機会があれば、ぜひ賞味したいものです。

いっぽう、子ども時代からの大好物で62歳にならんとする現在でもしばしば口にしている「九十九島せんぺい」のことが書中まったく触れられていなかったのは、とても残念に思いました。

金原俊輔