『平成トレンド史:これから日本人は何を買うのか?』、原田曜平著、角川新書、2018年。

平成は31年をもって終了することとなりました。

上掲書は、平成時代を全6期に分け、トレンド(流行や経済情勢の変動)を軸にしながらそれぞれの期の特徴を振り返ったものです。

6期は原田氏(1977年生まれ)による独自の区分で、中身は、

第1期 平成元年から同4年まで
第2期 平成5年から同7年まで
第3期 平成8年から同12年まで
第4期 平成13年から同18年まで
第5期 平成19年から同24年まで
第6期 平成25年から同29年まで

と、なっています。

わたしの場合、平成第1期から第3期の途中まで、日本に住んでいませんでした。

こうした「まとめ」的な書物を読むと、いままで知らなかった話題が多く、興味が沸いてきます。

本書があつかった事柄で印象的だったのは、日本の先端技術あるいはデザインが諸外国(とりわけ韓国)に負けつつある状況でした。

第1期のころ、親ごさんのお仕事の都合でオーストラリアに住んでいた著者は、

私の通っていた日本人学校で学園祭をした時、ソニーや松下電器産業(パナソニック)や日立製作所といった名だたる大企業が、最先端の家電を学校に寄贈し、学校が日本製品の展示会場のようになったことを覚えています。最先端の日本製家電を見たオーストラリア人がみんな目を丸くしており、それに対して日本人が優越感を感じていたのは確かです。(中略)圧倒的な日本経済の強さと優越感を、子供心にも感じた日々でした。(pp.24)

わたしはアメリカ留学時に同様の体験をしましたから、よくわかるエピソードです。

ところが、いつしか日本の力に陰りが生じだしました。

その結果、

第5期あたりから日本は世界の中で少なくとも感度の高い若者にとって「イケてる」国ではなくなっていってしまいました。(中略)
機能や品質が差別化ポイントであるうちは日本製品は強いのですが、そのアドバンテージが失われると、日本は弱くなる傾向が出てきてしまいます。
韓国製品はどちらかというと、機能よりもデザインに注力されていると言われており、また、前述したように広告・宣伝に長(た)けていると言われています。(pp.121)

自動車産業も無事ではありません。

1996年には700万台以上あった日本国内の自動車需要は、2010年には460万台にまで落ち込みます。(pp.128)

1996年は本書でいう第3期、2010年は第5期、に該当します。

このような停滞が、第6期に入って以降、SNSの普及などによって上向きに変わりつつある、というのが著者のご指摘でした。

『平成トレンド史』は、以上とはまったく異なる事柄の推移も、くわしく語っています。

多面性を有する労作でした。

最後に著者は、今後のビジネスは何をターゲットとすべきかについて、

「中性的な男性」の市場です。
2009年に「草食男子」が流行語になりましたが、この傾向は今も続いており、新しい市場が生まれつつあります。「レギンス男子」、「日傘男子」、「イクメン」、「弁当男子」など近年話題になったこれらのキーワードからもわかるように、今時の若い男性は上の世代に比べて中性的になっています。(中略)身なりに気を配って化粧水をつけるし、流行のスイーツも食べたりする。
大手化粧品メーカーも男性用化粧品のラインナップを復活させていますし、男性向けのクッキングスクールも人気になってきています。(pp.182)

こう提言されました。

わたしが知りもしなかった傾向です。

著者のように有能なかただと、わたしには見えない世界が見えているのだな、と感じ入りました。

金原俊輔