『我的日本:台湾作家が旅した日本』、呉佩珍、白水紀子、山口守編訳、白水社、2019年。

タイトルは台湾語です。

おそらく「私の日本」という意味なのでしょう。

本書は、台湾で活躍されている作家・エッセイスト・編集者たちがお書きになった、日本に関する随想・紀行文のアンソロジーでした。

まじめなものからユーモラスなものまで、全18作品が収められています。

台湾のみなさまが、いかに日本旅行を楽しみにしていらっしゃるか、どれほど日本文化を身近に感じてくださっているか、などのことが、じんわり読者に伝わってくる内容。

多くが旅行記でした。

『我的日本』を読むかぎりでは、京都が圧倒的な人気です。

観光都市・長崎に住むわたしとしては、嫉妬を禁じ得ません。

最も心引かれた作品は「門外漢の見た京都」でした。

京都は映画の大きな情景そのものだ。「古き時代」というドキュメンタリーをずっと演じ続けているようなものだ。町全体の人々がみなこの映画の中で動いている。
この映画のために、夜ともなれば無数の灯がともされる。意図されたほの暗さの中、お盆で食事を運ぶ人、家の前で水を撒く人、和服を着て扇子を揺らしながらのんびりと橋を渡る人、暖簾(のれん)を持ち上げて腰をかがめながら客に挨拶する人、どの場面も映画の情景となる。
しかもむかしからの情景だ。(pp.153)

夕暮れどきの京都の様子が目に浮かんできます。

文中、京都に関する著者の深い知識も披露されました。

ほかをいうと、「夫と子どもを捨てて、何もしないで過ごす革命の旅」「母を連れて京都へ行く、ときには叔母さんもいっしょに」の2作は笑えるストーリー展開で、わたしは楽しく読みました。

「夫と子ども~」の行き先は、富山県と石川県。

台湾ではほとんど雪が降らないため、台湾人のかたがたは北陸地方や北海道への旅行もお好きなのです。

長崎市だって、1月や2月ならば、しばしば降雪があって積もったりするんですけど……。

金原俊輔