最近読んだ本452

『知らないと損をする 男の礼儀作法』、諏内えみ 著、SB新書、2021年。

この種の本は滅多に読みませんが、読んでみると、たしかに有用です。

いくつか例をあげましょう。

洋食のレストランで食事が運ばれる前や食事中、そして次のお皿が来る間、あなたの手は主にどこにありますでしょうか?(中略)
お行儀よく両手を腿の上に置き、いわゆる「気をつけ」スタイル(後略)。
主にヨーロッパのテーブルマナーでは(中略)この「よいお行儀」はNGとされています。それは、「テーブルの下に武器を隠し持っていません」という証のため。友好関係のアピールの名残です。つまり、両手をテーブルの上に出しておくことがマナーとされているからです。(pp.63)

考えたことがありませんでした。

わたしも他の「オジサマ方(pp.64)」とおなじく、手を「腿の上」「テーブルの下」に置いていたのです。

今後あらためます。

つづいて、

マスクを着用なさってレストランのお席に着いたときは、飲み物や食事が運ばれてきたタイミングで外すかと思いますが、さてそのとき、マスクをテーブルの上に置いてしまってはいませんか!? これは本当に無神経な行為。他人が外したマスクなんて見たくないですよね。しかも、お食事中ならなおさら! 今までつけていたマスクはポケットやバッグへしまってください。(pp.54)

はい、わかりました!

コロナ禍の現在への好適なアドバイスです。

女性と一緒にランチやディナーを召し上がったあと(中略)デザートワゴンが運ばれてきたときなど、女性は「あれと、これと……」と何種類かを選ぶのが幸せなお時間。それなのに、「僕はエスプレッソだけ」となると、女性はひとりでスイーツを召し上がることになり、少々楽しくないというか、つまらないというか、「一緒に楽しんでほしいのに」と思ってしまうのです。(pp.70)

まさに、わたし。

相手のかたがたへの配慮が欠けていました。

予告なしに女性のお見舞いに行くのは避けましょう。ねまき姿やノーメイク、シャンプーもできない状態のときに、女性が他人に会いたいと思いますか?(pp.102)

予告なしで女性のご入院先へお邪魔したことがあります。

猛省し、2度と繰りかえしません。

ひと昔前、ワイシャツの胸ポケットに3本も4本もボールペンを挿しているオジサマを頻繁に見かけました。(中略)
お願いだから何も入れないで! ワイシャツの左側だけがだらしなく垂れ下がり、スマートでデキる男には到底見えません。(pp.139)

わたしの場合、ボールペンこそ挿さないものの、よくタバコとライターを入れていました。

これから気をつけます。

以上ばかりでなく、本書ではハッとさせられるご指摘が満載でした。

とても当方に資しました。

男性たち、わけても年配男性たちは、ぜひ目をとおしておくべき一冊と感じます。

さて、わたしは今回のコラム冒頭「この種の本は滅多に読みません」と書きました。

思い起こせば、「この種の本」をはじめて読んだのは30数年前、自分のアメリカ留学が間近になったころです。

寺西千代子著『国際ビジネスのためのプロトコール:心得たい国際儀礼』、有斐閣ビジネス(1988年)

一般人としてアメリカに住んだわたしには必要がない手引書だったいっぽう、各国政府間の外交上の約束ごとをくわしく紹介していただき、名著と受けとめましたし、いまだに著者・寺西氏への敬意が薄れておりません。

金原俊輔

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