最近読んだ本495:『世界を震撼させた日本人:心を奮い立たせる日本の偉人』、門田隆将、高山正之 共著、SB新書、2022年

保守論客おふたりによる保守的な対談。

国の名を高からしめた日本人多数の話を語られています。

表題で顕示されている「世界を震撼させた」は大げさと言わざるを得ませんが、歴史上の偉人に関心がある向きは読んでおいたほうが良い、知っておいたほうが良い、そんな内容を有する一冊でした。

登場人物中、わたしが強く惹かれたのは、

〇 華岡青洲(1760~1835)

〇 柴五郎(1859~1945)

〇 堀口九萬一(1865~1945)

この3名です。

華岡と柴については他の文献をとおしうっすら知識をもっていた程度、堀口にいたってはまったく存じておりませんでした。

機会があれば彼らの伝記を読んでみたいものです。

以上で感想を終了します。

さて、わたしは若かったころから、あまたの対談を読んできました。

最初に接した作品が何であったか、はっきりとはおぼえていません。

『歴史について:小林秀雄対談集』、小林秀雄 著、文藝春秋(1972年)

だったかな?

そうでなければ、

『狐狸庵 VS マンボウ』、遠藤周作、北杜夫 著、講談社(1974年)

かもしれない……。

ところで、対談を文字にまとめた書物は日本の出版界や読書界が好み、いっぽう海外ではほとんど見られない、と聞いたことがあります。

わたしが読める外国語は英語だけなのですが、たしかに英語図書で対談形式というのはなかなか思い当たりません(わが師B・F・スキナーは臨床心理学者カール・ロジャーズと討論をおこない、そのときの両者のやりとりは書籍化されています)。

自覚しないまま日本固有の読物に親しんできたみたいです。

それでは、わたしがこれまでにひもといた対談本のうち、印象にのこり、いまだ手元にある場合は折に触れ再読している全10冊を、ランキング風に紹介いたします。

談話者数は2名(対談)に限定せず、3名(鼎談)さらに4名以上も含みました。

第1位 『闘論:君は日本をどうするのか』、石原慎太郎、野坂昭如 著、文藝春秋(1975年)

第2位 『放談の王道』、呉智英、宮崎哲弥 著、時事通信社(1999年)

第3位 『暴論:これでいいのだ!』シリーズ、坪内祐三、福田和也 著、扶桑社(2004年)

第4位 『社会派くんがゆく!』シリーズ、唐沢俊一、村崎百郎 著、アスペクト(2001年)

第5位 『歴史を考える:司馬遼太郎対談集』、司馬遼太郎 著、文春文庫(1981年)

第6位 『科学的方法とは何か』、浅田彰、黒田末寿、佐和隆光、長野敬、山口昌哉 著、中公新書(1986年)

第7位 『おどろきの中国』、橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司 著、講談社現代新書(2013年)

第8位 『ものぐさ性愛論:岸田秀対談集』、岸田秀 著、青土社(2002年)

第9位 『日中韓 歴史大論争』、櫻井よしこ、田久保忠衛、古田博司、劉江永、歩平、金燦栄、趙甲濟、洪ヒョン 著、文春新書(2010年)

第10位 『ラディカルに語れば…:上野千鶴子対談集』、上野千鶴子、大沢真理、河野貴代美、竹村和子、足立真理子 著、平凡社(2001年)

まず、第1位『闘論』について述べます。

わたしは石原慎太郎(1932~2022)および野坂昭如(1930~2015)のファンであったことはない反面、同書におけるおふたかたの相手を尊重した話しぶりには好感を抱きました。

第8位『ものぐさ性愛論』の著者は元・和光大学教授でいらっしゃり、同大学にて学んだわたしは著者による精神分析学の講義を受講した記憶があります(失礼ながら「精神分析は学ぶに値する学問ではない」と感じました)。

『ものぐさ~』書に収録されていた、

「『江戸の性愛幻想』を斬る」、小谷野敦、岸田秀 往復書簡

は、丁々発止のガチンコ応酬で、わたしはドキドキしつつ読んだものです。

おなじく第9位の本もガチンコ対決でした。

第6位そして第10位は、話者たちが欧米発の専門知識を披露する行為に忙しく、独自のお考えを語らないため、知的な刺激はありません。

しかし学術情報の収集には役立つでしょう。

金原俊輔