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『青春ドラマ夢伝説:「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代』、岡田晋吉 著、ちくま文庫、2021年。

岡田氏(1935年生まれ)は「日本テレビ」所属のプロデューサーでした。

『青春とはなんだ』(1965年)

『進め!青春』(1968年)

『おれは男だ!』(1971年)

『太陽にほえろ!』(1972年)

『われら青春!』(1974年)

『俺たちの旅』(1975年)

『熱中時代』(1978年)

『あぶない刑事』(1986年)

等々、多くのヒット作に関与されています。

タイトル内にしばしば「青春」「俺」「熱中」「!」の言葉・記号が含まれ、「青春真っただ中の俺が熱中している!」的な雰囲気がただよう、熱いストーリーのものばかり。

わたしは上掲のうちのいくつかを観ましたし、観なかったにしてもタイトルは記憶しています。

当時、こちらとて青春時代を過ごしていましたから。

『青春ドラマ夢伝説』は、そんな岡田氏による、作品や役者さんたちや制作スタッフ陣の思い出を書きつづった懐旧談でした。

巻末の「解説」に、

岡田さんがテレビの仕事を始められたとき、テレビそのものも青春前期でした。(pp.301)

とあり、たとえば、森田健作主演『おれは男だ!』。

森田が夕日に向かって大声を上げたり、走ったりするシーンが、「青春ドラマ」の象徴として有名になった。(pp.114)

あまたの映画・テレビ番組・マンガ・アニメなどで準(なぞら)えられてきたシーンで、岡田氏は業界が「青春前期」だった折にこうした定番を育てたのです。

他に、氏の述懐を用いると、

われわれの「青春もの」は、『青春とはなんだ』で、ラグビーにより不良生徒を立ち直らせるというドラマを組んで(後略)。(pp.130)

むかしの日本社会では何となく「ラグビーは不良を立ち直らせるスポーツ」というイメージが共有されていて、その方面の実話ドラマも登場し人気を博しました。

これまた岡田氏がおよぼした影響だったわけです。

真の開拓者といえるでしょう。

本書はひとつの世界を切り開いた人物の自負が淡々と語られる読物でした。

個人的に口惜しかったのは、石原裕次郎主演『太陽にほえろ!』項。

岡田氏は同作品への愛着が深いみたいで、相当なページ数を割いていらっしゃるのですが、わたし自身は視聴したことがなく、お話の内容がわかりませんでした。

わが国のテレビドラマ史にのこる名作と聞いています。

金原俊輔