メンタルヘルス情報10:ストレスへの対応の仕方
ストレスにどう対応するのが妥当かに関し、現在、多くの助言が出まわっています。
書店あるいはインターネット上でも、
〇ストレス解消法
〇ストレス対処法
〇ストレス・コーピング
〇ストレス・マネジメント
〇ストレス・コントロール
〇ストレス・ケア
こんな言葉が入っている標題の書物や記事を目にする機会がめずらしくありません。
それらはどれもストレス対応に役立つ情報を含んでおり、参考となります。
本コラムでは、
『実践! ストレスマネジメントの心理学』、高山恵子、平田信也 共著、本の種出版(2014年)
に記載されていた「感情とうまく付き合う5つの方法(pp.107)」を紹介いたします。
ストレス対応策として有効と考えられるからです。
さて、同書の著者おふたりによれば「大切なのは『マイナスの感情を切り離すこと』(pp.107)」。
そのために以下の5点を列挙されました。
まず、
1 共感してもらう(pp.108)
これが必須の由で、
相手に共感してもらったり、ねぎらいの言葉をかけてもらったり、自分の存在を肯定してもらったりすると、徐々にマイナスの感情が消えていきます。(pp.108)
勤労者が就業時間後に同僚たちとお酒を飲みつつ、あるいはケーキを食べつつ、グチを言い合って結構スッキリするのは、他者から共感されるひとときを有した賜物といえるでしょう。
共感の恩恵を受けるためには、日ごろより、ご自分に感情移入してくれる存在をもつ努力をしておくべきです。
2 感情を言語化する
自分が思っていることを文章にすると、落ち着いてきます。ブログや日記などを使って書きとめておくといいでしょう。(pp.108)
日記は閉鎖性が高いので安心して率直な思いを書けます。
ただし、SNSのブログを用いる場合は、勤務先の名称や関係者諸氏の実名を出したりしないよう気をつけなければなりません。
3 どっぷりマイナスの感情につかって泣く
思いっきり泣くと、セロトニンという心が安定する脳内物質が出るようになります。(中略)
また、セロトニンとオキシトシンには、ストレスホルモンが出た体を修復するはたらきがあります。泣くことは、ダメなことではありません。「泣いてもいいんだよ」と自分に言ってあげましょう。(pp.110)
最近、オキシトシンなる神経伝達物質が有名になってきました。
愛情ホルモンとして注目されている模様です。
泣いてもオキシトシンが分泌され、われわれの心身を支えてくれる、とのご説明でした。
4 一時的に離れる
マイナスの感情を生み出すものから、物理的に離れることも重要です。
その場所やその人に近づかず、趣味やスポーツなどでほかのことに没頭して、嫌な感情を切り離すことができると、楽になれます。(pp.110)
ストレスを感じている際に何か他の事柄に熱中すると気分が落ち着きだす展開は、おそらく誰もが経験しているはず。
ストレス回避はけっして情けない逃げなどではなく、自分や他者を守るごく適切な行為、ということになるでしょう。
5 言葉で距離を置く
「私は怒っています」を「私は怒っていると感じています」のように、「……と感じている」という表現に変えてみてください。(中略)
「感じている」という言葉を使うことで、怒っている自分を感じているという、ワンクッションおいた認識の仕方になるのです。(pp.111)
上記は「アンガー・マネジメント(怒りを鎮める工夫)」で重用されている手法です。
怒りの抑制に力をしめすばかりでなく、種々のストレスにたいしても効果が期待できるのです。
以上、『実践! ストレスマネジメント~』内の文章を引用しました。
人におよぶストレスの性質はさまざまに異なっており、ストレス対策も個人個人で異なります。
ですので、今回ご紹介した方法を遵奉する必要は全然なく、すでにご自分にピシャリと合ったやりかたがある場合は、それをつづけてゆけば良いのです。
金原俊輔