『日本人は「国際感覚」なんてゴミ箱へ捨てろ!』、ケント・ギルバート著、祥伝社、2017年。

わたしが若かったころ、ギルバート氏(1952年生まれ)はハンサムそして知的な外人タレントとして、日本のテレビで活躍されていました。

それから30年以上が過ぎた現在、同氏は歯に衣着せぬ知日派の論客になられています。
多数の本を執筆されました。

上掲書は最新の一冊です。
いつもと同じく、思わぬ角度からのご意見を、ご遠慮なく述べられています。

おもなテーマは日本の国際関係です。
国際関係というものは性善説では太刀打ちできないので、日本は自国の価値観および業績(著者はこれを「ジャパン・スタンダード」という語でまとめています)を大事にしながらしたたかに進むべき、という内容でした。

このテーマに沿って本の中のあちこちで興味深いエピソードが紹介されています。

たとえば、スキー・ジャンプの高梨沙羅選手がらみの話題。

スキー・ジャンプほど、こまめにレギュレーションが変更されている競技はない。これをお家芸としてきたヨーロッパの選手が勝てるように、スキー板の長さの制限などが毎年のように変更されている。選手の身長に応じてスキー板の長さに制限を加えている。インターネットで、身長の低い高梨選手と高身長の北欧の選手が並んでいる画像を検索してみるとよい。スキー板の長さがあまりにも違うのに驚かされるだろう。もちろんスキー板は長いほど浮力がつくので有利だ。こうした逆境の中で、何年も女王の座に君臨している高梨選手はほんとうにすごい。(pp.45)

競技の裏でこうしたかけひきがおこなわれていた由です。
わたしが全然知らなかった事実でした。

以上は一例に過ぎません。
わたしはギルバート氏の本を読むたびに日本人として知っておくべき有益な情報を入手することができます。

そして、しばしば「このかたのご意見は真っ当」と感じます。
それは氏が史実に基づき、参考としてアメリカ人の視点も交えつつ、議論を展開されるからです。

安倍首相がフィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナムといったアジアの海洋国を歴訪したことは、すばらしい政治判断だと思う。この4ヶ国に台湾が加わればパーフェクトだったが、さすがに中国のメンツを立てたのだろう。(pp.36)

わかります。
これは今の日本が取るべき最も現実的な方向性でしょう。

ただ、台湾が大好きで、台湾に感謝しているわたしは、安倍首相には台湾に対してもう少し何かをしてほしかったのですが・・・。

そう思っていたところ、これまで日本や台湾の名称が入っていなかった台北市の「交流協会(日本大使館に相当)」が2017年1月に「日本台湾交流協会」という名前に変わり、わたしは快哉を叫びました。

「よーし日本、さらにもう一歩! いや二歩以上でも」と意気込んでいます。

いつしか『日本人は「国際感覚」なんて~』の感想から脱線してしまいました。

金原俊輔