『君の膵臓をたべたい 上・下』、住野よる原作、桐原いづみ作画、双葉社、2017年。

佐世保市に、弊社がご契約をいただいている福祉施設があり、わたしが担当者として定期的にお邪魔させてもらっています。

そこにおける同僚(男性)が、試写会で『君の膵臓をたべたい』実写版を観られ、過日、他の職員さんやわたしに「どれほどすばらしい映画であったか」をくわしく語ってくれました。

静謐な名作だったそうです。

彼は読書家で、学究肌、わたしはその批評眼を信頼しています。

そこで自分も『君の膵臓~』を観てみようと思ったものの、2017年6月現在、映画はまだ封切られておらず、そもそもわたしには映画館へ足を運ぶという習慣がありません。

結局、マンガで物語を味わうことにしました。

書店で上下巻2冊を購入して、自宅へもち帰り、ドキドキしながらページを開き、当日のうちに読み終えました。

感想は……。

えっ?

期待したほどに、おもしろくなかった……。

同僚からは「ラストが印象的だった」と聞きましたし、マンガ本の帯にも「読後、きっとこのタイトルに涙する」と書かれていたのですが、わたしには長いラストのどの部分が山場であるのかすら把握できませんでした。

残念です。
どうしてなのでしょうか。

理由はふたつ考えられます。

まず、映画とマンガは小説が原作となっており、同僚のかたは原作も読み「小説より映画のほうがワンランク上だった」とコメントしていたので、映画の出来が圧倒的に良く、小説やマンガは案外それほどでもない、のかもしれません。
だとしたら、これが、わたしが感動できなかったわけになります。

もうひとつ考えられる理由は、マンガを読んだわたし自身において、この種の繊細なストーリーを受けとめる感受性が鈍っているかもしれない、ということです。
高校生同士の友情そして恋愛は、還暦を過ぎた身にはなかなか感情移入がむずかしいですから。

ふたつの理由はさておき、いまの若者たちが「大事な人の死」という古典的テーマを含んだ小説に心打たれているのは、むかしのわたしらと変わらず、なんだか嬉しいことでした。

最後に、わたしは、もしかしたら『君の膵臓をたべたい』は村上春樹作『ランゲルハンス島の午後』にうっすら関係があるのではないか、と想像しました。

ランゲルハンス島は膵臓にあるので。

しかし『ランゲルハンス島~』を読んだことがないため、これ以上、わが想像は進展しませんでした。

金原俊輔