『蔡英文自伝:台湾初の女性総統が歩んだ道』、蔡英文著、白水社、2017年。

長いあいだ「この本を読んでみたい」と思っていたものの、なぜかタイミングが合わず、書店で手にする機会がありませんでした。

今回、ようやく読めて、安堵しました。

上掲書は台湾の蔡英文総統(1956年生まれ)による自伝で、幼少期、留学生時代、政府の閣僚時代、などにおけるできごとを細かく綴ったものです。

総統の誠実かつ謙虚なお人柄が窺える内容でした。

官僚や政治家として役割を果たしつづけることはとても大変でしょうが、蔡氏はご自分のためにではなく、台湾のために、不退転の決意でお仕事に取り組まれています。

非常にご立派なかたです。

氏のような総統を戴いた台湾人の幸せを衷心よりお慶び申し上げます。

本書にたいして欲をいえば、わたしは「蔡総統と日本の関係」「台湾と日本との関係」のふたつを、もっとたくさん書き込んでほしかったです。

われわれ日本人が感動しないではいられない「台湾-日本」間の歴史的事実にまつわる記述が期待できますので。

ただ「蔡総統と日本の関係」について、ご自身が所属している民進党を立て直そうとなさったときに、

私が普段好んで見ている日本のテレビ番組『劇的ビフォーアフター』を思い出していた。この番組は、単純に家を改築するのではなく、限られた予算で、もともとの家の伝統的な気質を変えずに、これからも長く使えるように改築するというものだ。これと同様に、私の治療法は、病にかかっている党には安全な場所で横になって、先に一息ついてもらい、傷口を癒し、自分の力で回復してもらうことだと思った。(pp.195)

こうした一文は書かれていました。

わが国の番組がお役に立てて良かった……。

さて、本書が日本で出版されてから、おおむね半年が過ぎました。

半年のうちに蔡総統および台湾を取り巻く情勢がかなり変化し、そのため、書かれている事柄のいくつかがやや古くなっています。

「読みたい書物はただちに読むべき」という真理を、わたしは改めて学びました。

金原俊輔