『グルメ漫画50年史』、杉村啓著、星海社新書、2017年。

題名どおり、日本のグルメマンガの歴史を展望した、集大成といえる一冊です。

情報が豊富でした。

わたしがおどろいたのは、黎明期の名作のひとつとして、1970年、『月刊なかよし』に発表された萩尾望都作画『ケーキケーキケーキ』があげられていたこと。

メインの筋立ては少女漫画らしい立身出世物語でありながら、随所にその後のグルメ漫画に繋がる部分が見受けられる『ケーキケーキケーキ』は、間違いなくグルメ漫画の原点のひとつと言うことができます。(pp.33)

おぼえています!

わたしはそのころ中学生で、小学生だった妹がよく貸本屋さんから『なかよし』誌を借りてきており、たまに弟と交代でそれを読んでいました。

あるとき『ケーキケーキケーキ』に接して(能天気な)兄弟は感銘を受け、「すばらしいマンガなので実写映画にしてはどうだろうか」などと話し合ったものです。

『ケーキ~』を取り上げてくださって嬉しかったし、とてもなつかしく思いました。

つづいて、ラズウェル細木作画『酒のほそ道』、日本文芸社(1996年~)に関しては、

お酒を楽しむ姿と、酒場あるあるが多くの共感を呼んで人気を博し(中略)。さすがに40冊以上続いている作品なので、時折似たような話が出てくるものの、時代劇のパターンを楽しむような感じでいつでも安心して読むことができます。(pp.125)

まったく同感です。

大好きな大人向けマンガで、そして「時代劇のパターン」はわたしも感じていたところでした。

『グルメ漫画50年史』においては他にもたくさんの作品が登場してきます。

そのうち、わたしは少なくとも3分の2以上は読んでおり、自分がグルメマンガ好きであることを改めて確認しました。

勝手な欲をいわせてもらえば、わが国のグルメマンガ「紀元前」的な話題として、本来のグルメマンガではないものの、1949年に連載がスタートした倉金章介作画『あんみつ姫』も語られてよかったのではないかと考えています。

金原俊輔