『平成を愚民の時代にした30人のバカ』、適菜収著、宝島社、2018年。

著者の適菜氏(1975年生まれ)は「1994年の小選挙区比例代表並立制の導入と、政治資金規正法の改正(pp.8)」が平成時代をダメにしてしまった、とお考えです。

この基本認識のもと、上掲書にて、おもに政治家たちを対象とした論難をおこなわれました。

いわば「政治家ゴシップ録」的な一冊です。

槍玉にあがったのは、安倍晋三氏、橋下徹氏、小池百合子氏、小沢一郎氏、麻生太郎氏、菅義偉氏、橋本龍太郎氏、小泉進次郎氏、鳩山由紀夫氏、菅直人氏、松井一郎氏、など。

2018年8月現在、与党自民党に所属する顔ぶれが最多でした。

論難の中身を見てみましょう。

まず、橋下徹氏の場合。

やってきたことも矛盾だらけ。
橋下氏は「2万パーセント府知事選には出ない」と言いながら、出馬の準備を進めていた嘘つきである。
維新の会が撒いたビラには「だまされないで下さい!」と書いてある。その下に「敬老パスはなくしません」と書いておきながら敬老パスの有料化を打ち出し、「大阪市は潰しません」と書いておきながら住民投票が通れば大阪市は潰れることになっていた。(pp.40)

河野洋平氏に関しては、

1993年、日本政府が調査を行ったところ、二百数十点に及ぶ公式文書に慰安婦の強制連行を示す資料はひとつも見つからなかった。すると、宮澤内閣の官房長官だった河野は、慰安婦連行に強制性があったとする「河野談話」を発表したのだった。(中略)
さらには、談話作成に韓国が直接関与していたことが判明。当時の政府関係者らの証言によると、日韓両政府は談話の内容や字句、表現に至るまで発表の直前まで綿密にすり合わせていた。(pp.162)

菅直人氏。

2010年8月19日、総理大臣の菅は、自衛隊「制服組」との会談でこう述べました。
「改めて法律を調べてみたら(総理大臣は)自衛隊に対する最高の指揮監督権を有すると規定されている」と。
軍隊のトップが自分が軍隊のトップであることを知らなかったわけです。これは異常事態です。(pp.144)

以上のようにつくづく残念で腹が立つ実話のオンパレードでした。

すでに耳にしたことがある話が含まれていたいっぽう、今回初めて知った逸話も多数ありました。

登場人物それぞれにかなりバカっぽく見える本人写真が添えられていたのは、著者あるいは編集者の丁寧なお仕事ぶりの賜物(たまもの)でしょう。

いずれにしても、こんな人々が日本の中枢におられる事態を、深く憂慮します。

さて、わたしにとって『平成を愚民の~』でいちばん参考になった箇所は、

「民主党に騙されたー。だから安倍支持ー」みたいになってしまう。
だったら、なぜ自分が簡単に騙されるバカであることを自覚しないのか。「自分は判断能力が欠如しているがゆえに民主党に騙されたのだから、今信じているもの(安倍)にも騙される可能性がある」と考えるのが正常な人間だろう。(pp.141)

ごもっともな問題提起です。

自分自身、こうした「正常」で冷静な振り返りがじゅうぶんできてはいない、と反省しました。

つづいて、本書で疑問に感じたことは、土井たか子氏(1928~2014)や橋本龍太郎氏(1937~2006)といった、すでに他界された人たちをもあげつらっていた点です。

存命中の面々を非難するかたわら、亡くなった人物をも攻撃する必要性は、特段なかったのではないでしょうか。

関係者がご本人に確認することも、ご本人が世間に弁明することも、できませんし。

金原俊輔