『磯野家の危機』、東京サザエさん学会編、宝島社、2018年。

1993年に絶版となった長谷川町子作画『サザエさん』(姉妹社)

いっぽう、テレビアニメ『サザエさん』のほうは、約50年継続というわが国屈指の長寿番組で、2018年現在においても放送がつづいています。

ところが長寿であるがために、しだいにサザエさん一家が生きた昭和時代と現代との差異が目立ちだし、描写に違和感がでてきている由です。

例をあげれば、

磯野家はいまだにブラウン管テレビや二槽式洗濯機を使い、フネは普段着が和服で、酒屋からは御用聞きが来る、という生活を送っている。(pp.4)

あるいは、

アニメ『サザエさん』ではまずもって大手チェーンのコンビニ自体が確認できない。(pp.119)

さらに、

アニメの磯野家では、子供たちはもちろん、大人であるサザエやマスオがいまだに携帯もスマートフォンも持っていない。(pp.130)

このような事態とのことでした。

たしかに「危機」といえるでしょう。

以上の問題意識のもと、アニメ・シリーズの瑕疵(かし)あれこれを調べ、細かな指摘をおこなったのが本書です。

わたしはおもしろい着想と考えます。

期待して読みだしました。

アニメ版は観ていないものの、若かったころにマンガ全巻をそろえた『サザエさん』ファンだからです。

しかし、残念なことには、『磯野家の危機』はたいして楽しめる読物ではありませんでした。

全体的にユーモアが不足していたのです。

この種の本が読者をニヤリとさせなくてどうする、そう思いました。

コナン・ドイル作『シャーロック・ホームズ』譚の矛盾点や疑問点をせっせと研究する「シャーロキアン」ばりの、おバカな気づきをユーモラスに語る作品であってほしかった……。

ちょっと落胆しました。

おなじ「東京サザエさん学会」が発行した、

『磯野家の謎』、飛鳥新社(1992年)

『磯野家の謎 おかわり』、飛鳥新社(1993年)

もあるそうですが、わたしは未読です。

第一作『磯野家の謎』はかなり評判でした。

読む人たちが「クスッ」とくる話の進めかただったのかもしれません。

金原俊輔