『ホモ・デウス:テクノロジーとサピエンスの未来 上・下』、ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2018年。

残念な読書でした。

……人間は、類人猿から進化して以来最大の悩みでありつづけた「飢饉」「疫病」「戦争」を克服しようとしている。

それに伴い、やがて神性を獲得するはず。

「神」になるのはわれわれにとって幸福な展開なのだろうか?……

『ホモ・デウス』は、こうした問題意識で書かれた大著です。

人類は他に何を目指して努力するのか?(中略)
今度は人間を神にアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウスに変えることを目指すだろう。(上巻、pp.32)

デウスとは神を意味します。

そしてホモ・デウスは、神になった人類。

神とはいっても「唯一絶対神」的なものではなく、日本神話に登場する高天原の神々のようなイメージでした。

本書では全体を通して「アルゴリズム」の語が頻出します。

アルゴリズムとは、計算をし、問題を解決し、決定に至るために利用できる、一連の秩序だったステップのことをいう。アルゴリズムは特定の計算ではなく、計算をするときに従う方法だ。(上巻、pp.107)

いわば「根幹にある流れ」のこと。

ハラリ氏(1976年生まれ)は、生物を(むろん人間も)アルゴリズムに見立て、深遠広大な論考を重ねました。

では、この『ホモ・デウス』を読みながら、わたしがどう感じたかといえば、

「冗長」

「著者がご自身の博学ぶりを誇示しすぎている」

「比喩・警句・たとえ話が(お上手だけれども)極度に多く、本題が何だったのか分らなくなってしまう」

「まとまりが悪い」

以上です。

あまり高く評価する気もちは起こりませんでした。

いっぽう、下巻第8章の「自由意志」を対象にした解説は、わたしにとって有益でした。

その理由は、これまでずっとカール・ロジャーズ(1902~1987)、B・F・スキナー(1904~1990)という二人の心理学者がおこなった自由意志に関する意見交換を調べているためです。

書内で両者の件は言及されていませんでしたが、著者の説明は、ロジャーズとスキナーの主張を理解するうえで役立ちました。

結論として、本書は「失敗作」とまではいわないにしても、また個人的にはありがたい情報が含まれていたとしても、だれもが読んで思索にいたる、どの読者にも資する、そうした中身・構成ではなかったように思われます。

金原俊輔