『官房長官 菅義偉の陰謀:新・佐高信の政経外科』、佐高信著、河出書房新社、2019年。

上掲書の前半は、菅官房長官および同長官の周辺で活動されている政治家・著名人諸氏を対象とした、かなり辛辣な月旦評でした。

槍玉にあげられた顔ぶれは、菅義偉氏のほか、麻生太郎氏、河野太郎氏、金美齢氏、津川雅彦氏、などです。

後半は、佐高氏(1945年生まれ)が心服する知友たちの紹介。

前川喜平氏、望月衣塑子氏、中川智子氏、といった官僚や論客が語られました。

本作品の内容をひと口でまとめれば、

私が今一番恐れているのは、無思想の菅がマガイモノの思想を持っている橋下徹をかつぐことである。(pp.26)

こうなるでしょうか。

あるいは、

特定企業に甘く、ルール等をあまり考えない菅の姿勢が新たなる災厄をもたらさなければ幸いである。(pp37)

こちらかもしれません。

佐高氏はわたしが東京で雑誌編集の仕事に携わっていたころにデビューされた評論家です。

当時、氏がお書きになった、

『逆命利君』、講談社(1989年)

に接して、感銘を受けました。

直後、わたしは渡米し、10年ほど経ったのち日本へ戻りました。

戻ってきてから改めて同氏の社会時評・政治評論に目をとおしたところ、なぜか、かなり言葉づかいが荒くなっていらして、驚きました。

以来、ご著作を読まなくなりました。

今回はひさしぶりに『官房長官~』を購入。

わたしはだいたい、佐高氏が低評価する面々を支持しており、氏が高評価する人物たちを尊敬していない、如上の根本的相違を感じました。

それでも、自分が支持している人を標的とした酷評を読み、自分が支持していない人にまつわる良いエピソードをも読んで、参考になりました。

人間はいろいろな角度から眺めることが可能なわけです。

この本を閉じ、「読まないよりは、読んでみて正解だった」程度の、かるい満足感をおぼえました。

おもな筋とはなんの関係もないのですが、

城山三郎が信頼していた人物評論家の伊藤肇は、歴代総理の指南番と言われた安岡正篤の一番弟子をもって任じていた。(pp.113)

城山三郎、伊藤肇、安岡正篤……、昭和時代後期にサラリーマンだった者にとって、なつかしいお名前でした。

金原俊輔