『続・マスコミ偽善者列伝:世論を煽り続ける人々』、加地伸行著、飛鳥新社、2019年。

わたしは2018年10月に、本コラムで、

『マスコミ偽善者列伝:建て前を言いつのる人々』、加地伸行著、飛鳥新社(2018年)

書評をしました。

それからまだ半年ほどしか経っていないのに、早くも「続」が出版されています。

よほど人気があるのでしょう。

著者(1936年生まれ)は前作同様、今回も歯に衣を着せない語り口を示し、世間を騒がせた人物だの事件だのを容赦なく過激に批判なさいました。

加地氏がお嫌いなのは「左筋の連中(pp.29)」。

ご自身のお立場はどうかというと「もとより保守伝統派。自民党政権を支持している(pp.242)」。

このように旗幟鮮明(きしせんめい)かつ直截でいらっしゃり、しかもお話が簡潔なため、本書はとてもわかりやすい内容でした。

「『武士の約束』の覚悟ありや」の章を例にとります。

憎しみの連鎖を絶とうと努力してきたのが現代国家である。
どのようにしたのかと言えば、「講和条約」を結ぶという知恵であった。(中略)
交戦国それぞれお互いに言い分はあるだろうし、満足はできないであろうけれども、講和条約を結んだ後は、国家としては、戦争時に関する不平不満や謝罪の要求などを公的には発言しないという約束である。(pp.30)

勉強になりました。

勉強になったというよりも、自分の勉強不足や知識不足を、恥ずかしく感じました。

「トランプを嗤(わら)えるのか」なる章では、

その「自国は自国民で護る」という主張は、まったく正しい。それができなかった国家は、侵略され、蹂躙(じゅうりん)され、属国となる。その例は歴史を顧みれば山ほどある。(pp.114)

著者の見解に賛同いたします。

日本は、こうした覚悟を背景にしながら、謙虚な外交を展開してゆくべきでしょう。

「国際柔道の悲劇いや喜劇」章。

柔道はなんだ。(中略)
礼儀作法が全然なっていない。形ばかりの礼に終わり、対戦前も対戦後もきちんと作法通りの礼をした選手は、日本選手も含めていない。
ひどいのは、勝ったときにいわゆるガッツポーズ。これは対戦相手に対して礼を失している。(pp.178)

嬉しいコメントでした。

なぜならば、当方もおなじ憤りを有していて、大学での講義中、学生たちに向かい憤懣を述べたことがあるからです。

ひとつひとつのご指摘・ご議論が、わたしにとって心強い思いや「目からウロコが落ちる」的な状態につながる、貴重な学びができた読物でした。

書中あちこちで、沖縄県にたいする加地氏の共感のようなお気もちが滲(にじ)み出ており、これは昨今のわが国において大切な心情と考えます。

終盤では政府に多数の提言をなさっていました。

金原俊輔