『ブーバー/ロジャーズ 対話:解説つき新版』、ロブ・アンダーソン、ケネス・N・シスナ共編、春秋社、2007年。

アメリカのミシガン大学で催された、哲学者マルティン・ブーバー(1878~1965)と心理学者カール・ロジャーズ(1902~1987)の討論会の内容を、そのまま本にしたものです。

ブーバーはロジャーズの主張や見解を容赦なく批判し、たとえば、

  • ロジャーズ:
    そして、それが彼と私との間における、真の対等性の感覚だと私には感じられるのです。
  • ブーバー:
    それについては、すこしも疑念はありません。しかし、えー、私は今、あなたの感じ方について話しているのではありません。・・・(pp.86)

と発言しました。
全編、このような調子で対話がすすみます。

1957年におこなわれた討論であるため、テープレコーダーによる録音が完璧ではなく、言葉が不明な個所が多々あります。
しかし、それがかえって読むほうの緊張感を高め、おもしろさが増して、いったんページをひらくと止まらなくなってしまいます。

十分な脚注がついており、その脚注もおもしろさを倍加させます。

 

読みながら、つくづく「学問において討論は大事だ」と思いました。
とりわけ社会科学の諸学問では大事です。
学者は他者との学術討論を避けるべきではありません。
討論が学問を発展させます。

わたしはブーバーとロジャーズのように真剣な対決をする学者たちを尊敬します。

似たような本としてデヴィッド・エドモンズ、ジョン・エーディナウ共著『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い10分間の大激論の謎』、筑摩書房(2003年)があります。

中島義道、小浜逸郎共著『やっぱり、人はわかりあえない』、PHP新書(2009年)も、同系統の読み物でした。

金原俊輔