『理系バカと文系バカ』、竹内薫著、PHP新書、2009年。

この著者の本は、どれも理解しやすく、啓発されます。
わたしはこれまで、

『闘う物理学者!』、中公文庫(2012年)
『なぜ「科学」はウソをつくのか:環境・エネルギー問題からDNA鑑定まで』、祥伝社(2009年)
『99.9%は仮説:思いこみで判断しないための考え方』、光文社新書(2006年)

以上3冊を読みました。

訳書としては、

『科学の終焉』、ジョン・ホーガン著、徳間書店(1997年)
『続 科学の終焉:未知なる心』、ジョン・ホーガン著、徳間書店(2000年)

があり、良訳でした。
後者は心理学に関してかなり掘りさげた本で、興味深かったです。

『理系バカと文系バカ』も期待したとおりの内容でした。
楽しみながら読了しました。

わたし自身は文系です。
学校時代、国語や英語が好きだった反面、数学だの化学だのはまったくダメでした。

文系の特徴として、本書36ページに、

  • 取扱説明書は困った時にしか読まない
  • 物理学と聞いただけで「難しくて分からない」と思ってしまう

と書かれており、わたしはまさにそうです。

  • ダイエットのために「カロリーゼロ」のドリンクをガブ飲みしてしまう
  • アミノ酸、カルニチン、タウリンなどのカタカナ表示にすぐ飛びつく

これは当てはまらないものの、「素質はもっている」という自覚があります。

  • たいていのことは「話せば分かる」と信じている

わたしにはドンピシャリですが、職業がカウンセラーですので、まあ当然でしょう。

理系の特徴としては、68ページに、

  • できれば他人と深く関わらないで生きてゆきたい
  • 新型、最新テクノロジーの商品を買うために徹夜してでも並ぶ
  • 「もっと分かりやすく説明して」と、よく言われる
  • 分からないことは、何でもネットで検索してしまえ

などと記述されていました。

著者は読者にバランス感覚を備えた「文理融合」人間をめざすよう勧めています。

長いあいだ、わたしは「自分は文系」とだけ受けとめ、それで終了していました。
しかし、臨床心理学を学んでからは「文系・理系というのは一種の軽い発達障害ではないか」と考えるようになりました。

発達障害とは、脳の働きに特異性があるため、生活のなかで困難が発生する状態のことです。
俳優トム・クルーズが発達障害のうちの「学習症」で、文字を読むのが苦手な事実は広く知られています。
わたしは、人はだれでも何らかの発達障害を(強弱の違いはあっても)有しており、それが文系または理系という形であらわれたりするのではないか、と想像したのです。

もし、この想像が正しい場合、文系そして理系の傾向は「生まれつきが主因」ということになって、著者がアドバイスする文理融合の達成はあんがい難しいかもしれません。

もちろん文理融合を図れるものならば、意義ある目標なので図るべきです。

そして、たとえ文理融合がかなわない場合でも、発達障害の人々はすごい力を示す例がめずらしくありませんから、文系領域や理系領域において、その力の発掘と発揮を志向すればよいでしょう。

金原俊輔