『21世紀 地政学入門』、船橋洋一著、文春新書、2016年。

最近、書店でしばしばタイトルに「地政学」の語が入っている新刊を見かけます。

わたしは、この地政学という学問がどういうものであるかをまったく知らなかったので、すこし勉強してみようと思い、上掲書を求めました。

「入門」ならば素人でも理解できるだろうと考えたからです。

しかし、本書は素人には難易度が高い内容でした。

地政学の定義がなされないままに諸外国と日本との関わりが細かく語られてゆきます。

読み進むうちに、日本政府の外交に対する提言も登場して、学術書というよりは著者の個人的主張を述べる書物の観を呈しだしました。

わたしはとまどいました。

最後になって、「あとがき」に、

地理や歴史、民族や宗教、人口や気候(温暖化)が世界政治を動かす要素としてこれまで以上に重要になってきた。(pp. 284)

という文章が書かれています。

おそらくこれが、著者にとっての地政学の定義なのでしょう。

地政学を学べたかどうかはさておき、わたしが本書で得た情報は有益でした。

日本をふくめ世界の国々が「風が吹けば桶屋が儲かる」的な(または「将棋倒し」的な)相互に関連し合った状況にある、そして、国々の間柄は地理や歴史といった変更しがたい要件の影響を受けている・・・、以上の事実を知ることができました。

金原俊輔