最近読んだ本330
『中国はなぜいつも世界に不幸をバラ撒くのか』、石平著、徳間書店、2020年。
石氏(1962年生まれ)は、日本に帰化された元・中国人です。
これまで中華人民共和国の欺瞞や矛盾を批判する書物多数を上梓なさってきました。
本書では、タイトルどおり、中国が他の国々(日本・台湾・ベトナムなど)へ迷惑をおよぼしてきた史実、史実を参酌したご意見、を提示しておられます。
わが国を念頭に置いたまとめは、
聖徳太子が「脱中華秩序」の独立宣言を打ち出して以来、できるだけ中国大陸から離れること、中国の政権と一定の距離を置くことが日本にとって唯一の正しい道であり、日本人にとって賢明な選択であることを、歴史は証明しているといえよう。(pp.93)
聖徳太子は実在しなかったという説もありますが、それは『中国はなぜ~』の主題ではないですし、石氏は日本のために上記ご発言をされているのですから、よしとしましょう。
さて、本書は2020年3月末の出版でした。
タイミングが適合した結果、現在進行形で国際社会が苦しんでいる「新型コロナウイルス禍」について相当くわしい情報が書き込まれています。
この新型コロナウイルスが、どこで、どうやって発生したのか、いまのところ科学的には解明されていません。
ただ、世界の疑念は否応(いやおう)なしに中国のほうへ向かっています。
そもそもの騒ぎが武漢市にて始まったことが理由。
しかし、
中国が新型コロナウイルスの発生源ではないという論調は、2020年3月2日に習近平主席が、ワクチンを開発している北京の軍事医学研究院や精華大学医学院を視察した際に、「病原体がどこからきたか、はっきりさせるべきだ」と強調したことで、さらに加速するようになった。
通常、中国で国家指導者がわざわざ指示を出した場合、いままでとは「異なる」成果を求めたということだ。言外に、「武漢発生源説」ではないものを求めているわけだ。(pp.109)
こんな動きがある模様でした。
そのうえ情報隠蔽の疑いも。
2019年12月初旬から武漢市内で謎の肺炎が広まっていたものの、(後略)。
武漢市当局は2020年1月15日、「1月3日以降、新たな患者は確認されていない」などと発表。また、「人から人への感染」についても、武漢市当局は当初否定していた。(pp.31)
まあこれほどの歴史的大惨事になってしまったのですから、責任をかわしたい気もちが分らなくはないとは言い条、ここは大国としての正当かつ堂々たるふるまいを期待します。
中国は、「中国が新型コロナウイルスの発生源だとは決まっていない」という主張から、「新型コロナウイルスはアメリカ軍が武漢に持ち込んだ可能性がある」とアメリカ陰謀説を唱えるまでに進み、さらに世界的な感染蔓延は日本のせいだと責任転嫁しようとし、ついには「世界は中国に感謝すべきだ」とまで言い出した(後略)。(pp.183)
わたしは「正当かつ堂々たるふるまいを期待します」と記しましたが、引用文を読むと毫末(ごうまつ)の期待もできません。
困った隣国です。
著者のご助言は、
中国は、「中国こそが世界を救った」というシナリオを描こうとしている。習近平の来日がいつになるかは現時点では不明だが、日本がそのシナリオに利用される可能性も少なくない。いや、中国は必ずそれを狙ってくるだろう。1989年の天安門事件に対する国際的な経済制裁に対して、天皇訪中を利用したように。
われわれは、ゆめゆめ油断してはならない。(pp.212)
でした。
まずもって日本政府は(延期になっている)習総書記の国賓招聘をキャンセルすべきではないか、と考えます。
金原俊輔