メンタルヘルス情報16:精神科・心療内科・神経内科

メンタルの調子が悪いため病院受診を検討しても、精神科・心療内科・神経内科のうちのどれを訪ねるのが妥当なのか、分らないかたがいらっしゃるでしょう。

そこで、これより、それぞれの違いを説明します。

精神科は、心の病気を診断・治療するところです。

心の病気の症状のひとつに「妄想」があり、妄想とは「出勤時にすれ違った人が青い服を着ていたのは自分に対するメッセージだ」……こうした根拠がない信念を意味しています。

「幻覚」と呼ばれる症状もあって、これは背後霊や天のお告げなど、ないものが見えたり聞こえたりする、対象がない知覚のことです。

このような症状を治療します。

精神科は他に、性格面の異常、極度の落ち込み、極端な感情の起伏、恐怖感、不安感、不眠、アルコール依存、なども対象としています。

心療内科は、ストレスに起因する身体的不調の改善をめざす診療科です。

片頭痛、高血圧、胃潰瘍、喘息、過呼吸、不整脈、めまい、脱毛、嘔吐、といった病気あるいは症状を、精神的ストレス源をチェックしたうえで、精神面に働きかけて治そうとするのです。

以上、精神科および心療内科に関する解説は、

芦原睦 著『心療内科がわかる本:ひとりで悩んでいるあなたへ』、法研(1998年)

遠藤俊吉、森隆夫 共著『専門医が語る よくわかる こころの病気』、成美堂出版(2002年)

2冊を参考にしました。

なお、総合病院でも個人クリニックでも、精神科と心療内科のどちらをも標榜している例はめずらしくありませんから、受診なさる際は両者を厳密に区別しなくて良いのではないかと思います。

神経内科は、神経系の障害で起こる病気を診療するところです。

頭痛、しびれ、立ちくらみ、失禁、失語症、脳血管障害、重症筋無力症、パーキンソン病、筋ジストロフィー、などの病気や症状が該当します。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)もまたそうで、周知のとおり、物理学者スティーヴン・ホーキング博士(1942~2018)がこの病気を患っておられました。

神経内科については、

小長谷正明 著『神経内科:頭痛からパーキンソン病まで』、岩波新書(1995年)

上掲書の情報を参照しています。

最後です。

ここまでお読みになっても、向かうべきは精神科・心療内科・神経内科のいずれなのか、確たる判断がつかない場合があるかもしれませんが、そういうときには、かかりつけの医師にご相談なさると適切な行き先をアドバイスしてくださるでしょう。

金原俊輔