メンタルヘルス情報12:ストレスと適応障害

重いストレスを受けたり、ストレスを長期にわたって受けつづけたりすると、当事者は心身の病気になってしまいかねません。

ストレスによって誰もが病気にかかるわけではないものの、かかってしまう場合があるのです。

そして、ストレスを原因とする最も代表的な心の病は、適応障害です。

適応障害とは、ある人が、自身におよぶストレスに適応できず、不調を起こしてしまっている状態。

どのような不調が生じるかというと、大きく3種類に分けられます。

1 抑うつ気分を伴うもの: 憂うつさ、悲しみ、涙もろさ、絶望感、など

2 不安を伴うもの: 不安感、心配、気が張りつめている、落ち着かない感じ、など

3 行為の障害を伴うもの: イライラして暴言を吐く、喧嘩、無謀運転をする、など

……ストレスチェック受検経験がおありのかたはお気づきになったかもしれませんが、ストレスチェックは「受検者は適応障害にかかっていないか?」という想定を含んで作成されています。

質問項目が適応障害の症状をかなりカバーするようにできており、その結果、ストレスチェックによって「高ストレス」と認定された受検者は「適応障害もしくはそれに近い状態である。適応障害に類似した精神疾患を有している」と見なされたことになるのです。

では、適応障害に至ってしまったら、ご本人はどうすれば良いか?

いちばん妥当なのは、原因となっているストレスを取り除く対応です。

たとえば、

〇 もし、業務過多が原因であるのなら、業務量を調整してもらう

〇 もし、残業の多さが原因であるのなら、週に何日か定時に退勤させてもらう

〇 もし、上司のハラスメントが原因であるのなら、上司にハラスメントを止めてもらう

〇 もし、職場の人間関係が原因であるのなら、異動や配置転換で人間関係を楽なものにしてもらう

〇 もし、顧客の理不尽なクレームが原因であるのなら、担当を他者に代わってもらう

〇 もし、職場の騒音が原因であるのなら、騒音を軽減してもらう

……こうした解決策が考えられるでしょう。

ただし、どうしても変えることができない状況があります(それも、多々あります)。

そんなときは、

〇 上司と話し合い、できる範囲で「安全配慮義務」を履行してもらう

〇 医療機関を受診し、治療を受ける

〇 医療機関から診断書を発行してもらい、それを勤務先へ提出する(医師の指示に応じた配慮をしてもらう)

〇 地域の労働基準監督署を訪ね、法的・行政的な支援を得られないか相談する

……といった動きが改善を招くかもしれません。

金原俊輔