『アイアムアヒーロー・22』、花沢健吾作画、小学館、2017年。

わたしは以前『ルサンチマン』(2005年)を読んで、原作者の花沢氏(1974年生まれ)に強い興味をもちました。

数年後、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(2010年)に目を通した際には、「この人は天才だ」と確信しました。

ストーリーの進めかたに間然するところがなく、画力も非常に高く、そのうえ、おもしろかったからです。

そういう経緯があったため、この『アイアムアヒーロー』も、第1巻を見かけた瞬間迷わず買い求め、最終巻となる本巻まで読みつづけました。

自身のマンガが売れないせいで有名マンガ家のアシスタントをしていた主人公の、心おだやかではないなかにもささやかな喜びがあった日常が、しだいにわけのわからない事態に侵食されてゆきます。

物語はやがて「SFホラーもの」に変わり、主人公が必死に生き延びようと奮闘する傍ら、重要な脇役が現れては亡くなり、現れては亡くなり、を繰り返しだします。

たんなる端役みたいな存在感だったキャラが、そこそこ大事なキャラに昇格したりもします。

2009年に連載が開始され、2017年に完結するという、かなり長いシリーズとなりました。

作者は伏線を張りめぐらして、それらを後々のエピソードにからませる展開が、大のお得意です。

したがって上の空で読むわけにはゆきません。

わたしは毎回一所懸命ページを睨み、古い巻に戻り細かなことを確かめては「ハッ」と気づき、とにかくみっちり楽しませていただきました。

前半のほうがよりおもしろく、終盤は話が複雑になりすぎてうまく収拾をつけきれなかったような気がしないではないです。
絵の丁寧さは申し分ありませんでした。

テーマは「孤独」だったのでしょうか?

わたしは個人的に、上掲書をマンガの歴史に残るかもしれない名作と位置づけますし、花沢氏を日本が生んだ代表的マンガ家のひとりと考えます。

まだ入手していませんが、『アイアムアヒーロー in NAGASAKI』という、(わたしが住む)長崎県がらみのスピンオフ作品もあるそうです。

金原俊輔