『ゴルゴ13:シリーズNo.199』、さいとう・たかを、さいとう・プロ作画、小学館、2018年。

わたしは子ども時代、近所の貸本屋さんへしょっちゅうマンガを借りに行っていました。

そのお店の棚に、さいとう氏(1936年生まれ)の本のコーナーがあった風景は、いまでもおぼえています。

氏の作品は当時「劇画」と呼ばれており、わたしは劇画に興味がなかったので、借りて読んだ記憶はありません。

『ゴルゴ13』シリーズは1968年に始まりました。

わたしは読者とはならず、1961年に制作された『怪獣ゴルゴ』というイギリス映画を観ていた関係から、『ゴルゴ13』というタイトルを聞いてせいぜい同映画のことを思いだした程度でした。

しかし、長じたのち『ゴルゴ13』のきっちりしたストーリー展開が好きになり、古書店へ行っては旧作を集めだしました。

『シリーズNo.199』は最新刊です。

話はあいかわらず高い完成度を示し素晴らしかった反面、絵柄にさいとう氏らしさがなく、ファンとしては残念でした。

おもにアシスタントの皆さまが描かれたのでしょう。

さて、ゴルゴ13は、別名(なのか本名なのかは不明ですが)デューク東郷といいます。

男性。

身長182センチで体重80キロ。

よく「レスラーのような体格をしている」と評されます。

年齢不詳。

職業はスナイパー(狙撃手)です。

高額で依頼を受け、約半世紀にわたって、無数の人々を狙撃してきました。

謎につつまれた人物であり、シリーズにおいては彼の謎自体がテーマのひとつとなっています。

なにしろ(日本のマンガ雑誌に登場しつづけているのに)日本人であるかどうかも確定されていないのですから……。

そこで、わたしはこれより臨床心理学者として、ゴルゴ13のことを考えてみます。

まず、彼には仕事を完璧にこなそうとする完全欲が見られます。

こだわりも強く、武器に関する知識は膨大ですし、どのような状況でも決して自分のルールを変えようとしません。

孤独を選び、他者とのつきあいは避けるほうです。

そして数え切れないほどの言語をネイティブなみに話す頭のよさ。

依頼の内容やターゲットの外見などをメモ・写真なしでおぼえこむ卓絶した記憶力も誇っています。

つねに身体を鍛え、不調なときはすぐ病院を訪ね、さらには独特の定期健康診断を受けるなど、自身の健康にかなり気をつけておられます。

逆に、たえまなくタバコを吸いますし、お酒も好み、食事は外食だらけ、各国の娼婦たちと毎回のように関係をもつといった、健康にまるで無頓着な一面も有します。

不器用なところもあって、特殊な仕事に従事されているわりには変装が苦手です(バカっぽい付けヒゲをつけたぐらいで変装したつもりになっています)。

まとめれば、完全欲が強い、こだわりが強い、他者への関心が乏しい、高度な記憶力、高い知能、奇妙なアンバランスさ、不器用さ、このようになります。

以上を勘案すると、どうやらゴルゴ13は、アメリカのスティーブ・ジョブズ氏(1955~2011)やビル・ゲイツ氏(1955年生まれ)らと同じタイプの特性をもっているみたいです。

そういうかたがたは、ふつうスポーツがお上手ではないのですが、ゴルゴ13は運動神経抜群ですので、きっと例外にあたるのでしょう。

ジョブズ氏・ゲイツ氏がご自分たちの特性を駆使して歴史にお名前をのこされたのと同じく、ゴルゴ13も能力を活かし、業界では知らない人がいないほどの存在になりました。

金原俊輔