『疑惑の科学者たち:盗用・捏造・不正の歴史』、ジル・アルプティアン著、原書房、2018年。

自然科学の研究で重大な不正を働いた人物たちの素顔、そして不正の詳細、以上を紹介した本です。

古今東西、計19名、が登場しました。

そのうち3名が日本人です(トホホ……)。

3名とは、登場順に、小保方晴子氏、藤村新一氏、藤井義隆氏、でした。

ほかに、グレゴール・メンデルだのアルベルト・アインシュタインだのも、あつかわれています。

わたしは臨床心理学者という仕事柄、データ盗用やデータ捏造に関する書物を読む機会が多く、それらに目を通すたび、日本の学者が深刻な不正をほとんどおこなっていない事実を誇らしく感じていました。

『疑惑の科学者たち』の著者であるアルプティアン氏も、「小保方晴子:ノーベル賞の夢」章において、

科学誌での論文撤回は、日本では比較的まれである。ましてや、メディアをこれほど騒がせることもめったにない。(pp.125)

と、書いてくださっています。

しかし最近、日本人による研究不正が少なからず露顕しだしてきている状況なのです。

著者は、

不正によって論文撤回に追い込まれるアジアと北米の研究者が多いからといって、早とちりしてはならない。
それは、西欧よりも、日本や中国やアメリカで発表される研究論文の数がはるかに多いという統計を反映しているにすぎない。(pp.266)

かるく弁護してくれました。

さはさりながら、研究不正は学問ひいては社会を愚弄する行為ですので、ない(少ない)に超したことはありません。

日本人は改めて誠実な研究姿勢に立ちもどり、世界からの信用を回復したいものです。

そう思いつつ本書を読み進んだところ、最終ページに「21世紀の研究不正のワースト・ランキング(pp.280)」が載っていました。

撤回した論文数で比較した順位です。

全部で12名の不正研究者の名前がでており、残念ながら、ワースト第1位は既出の藤井氏でした(おまけに、加藤氏および森氏という日本人生物学者ふたりも堂々ランク・インしていました)。

今回2度目の「トホホ……」です。

金原俊輔