『世界を変えた 日本と台湾の絆』、黄文雄著、徳間書店、2018年。

日本と台湾の人的交流、なかんずく日本から台湾へ渡り同国の発展に尽力した日本人たちについて、紹介した本です。

当該領域の読書を長期間つづけているわたしも知らなかった人々やエピソード類が、多数記載されていました。

たとえば、福岡県出身の末永仁(1885~1939)および広島県出身の磯永吉(1886~1972)。

どちらも農学者です。

ふたりは台湾米の品種改良に取り組み、1920年代に「蓬萊米」という新種を完成させました。

蓬萊米は二期作を可能にし、台湾の食糧事情を格段に向上させた。1930年には台湾米の3分の1を占めるようになり、そのうちの3分の2が換金作物として対日輸出にあてられた。(pp.52)

そして1960年代に至るまで、蓬萊米は(砂糖と共に)台湾の2大輸出品として国家の経済を支えたそうです。

末永と磯の晩年や死去の際には、彼らの業績を知る台湾人たちが手厚く報い、また、弔ってくださったとのこと。

以上の逸話だけではなく、本書にはいろいろな日本人たちの献身と台湾人たちの温かい謝恩がしっかり書き込まれていました。

黄氏は1938年、台湾に生まれ、やがて日本へ帰化された、歴史家かつ評論家です。

お書きになる文章はかならずしも読みやすくないものの、著作はすべて日本に対する好意を湛えており、わたしはありがたく思っています。

氏だけではありません。

台湾人がわが国を語る書物では、しばしば背後に日本への清らかな愛情が漂っています。

そのうち、わたしが最も感じ入った本は、つぎの10冊でした。

トップ・テン形式で列挙します。

なお、『世界を変えた 日本と台湾の絆』は、本項で解説したばかりですから、除きました。

第1位 『台湾の主張』、李登輝著、PHP(1999年)

第2位 『新・台湾の主張』、李登輝著、PHP新書(2015年)

第3位 『台湾論と日本論:日本に来たら見えてきた「台湾と日本」のこと』、謝雅梅著、総合法令(2001年)

第4位 『台湾人と日本精神:日本人よ 胸を張りなさい』、蔡焜燦著、小学館(2015年)

第5位 『台湾は台湾人の国:天になるごとく 地にもなさせたまえ』、許世楷、盧千惠共著、はまの出版(2005年)

第6位 『台湾「日本語世代」がどうしても今に伝え遺したい 日本人に隠された「真実の台湾史」:韓国は「嫌日」なのに台湾はなぜここまで「親日」なのか?』、李久惟著、ヒカルランド(2015年)

第7位 『親日派「蔡英文」:新台湾総統誕生で日本はどう変わるか』、黄文雄著、宝島社(2016年)

第8位 『台湾人から見た日本と韓国、病んでいるのはどっち?』、李久惟著、ワニブックスPLUS新書(2015年)

第9位 『台湾生まれ 日本語育ち』、温又柔著、白水社(2015年)

第10位 『凛とした日本人:何を考え、何をすべきか』、金美齢著、PHP(2011年)

元・台湾総統でいらっしゃる李登輝氏(1923年生まれ)のご著書を、最上位2冊に選びました。

同氏はわたしが尊敬する人物です。

比較的最近お書きになった、

『日台の「心と心の絆」:素晴らしき日本人へ』、宝島社(2012年)

も、ご指摘が胸に刻まれる名著でした。

マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相(1925年生まれ)は90歳代で首相に再選されましたので、李氏も台湾政界にご復帰いただけないだろうか、と勝手な夢想をしています……。

ランキングには含みませんでしたが、

『哈日杏子のニッポン中毒:日本にハマった台湾人 トーキョー熱烈滞在記』、哈日杏子作画、小学館(2001年)

なるマンガがあります。

作者のお名前の読みかたは「ハーリー・きょうこ」。

台湾において「日本が大好きな台湾人たち」は「哈日族(ハーリーズー)」と呼ばれ、哈日氏はその語源になった親日家です。

金原俊輔