『進撃の巨人』第16巻、諫山創作画、講談社、2015年。

わたしは大学で働いています。
何年か前に、マンガ好きなわたしのために、ゼミの女子学生が『進撃の巨人』数冊をもってきてくれました。

わたしは同書の題名から、

(1)巨人が出現し、人間がそれと戦う、というストーリー

(2)痛快アクション

以上のようなマンガを予想しました。
そして読みだしました。

(1)は、おおむね当たっていた反面、(2)は、完全に外れており、痛快アクションではなかったです。

痛快でないどころではありません。

もし当時のわたしが『進撃の巨人』を紹介したとしたら、「雰囲気が暗い」「セリフが長い」「セリフがむずかしい」「登場人物が多すぎる」「登場人物たちの顔立ちが似ていて区別しがたい」「登場人物たちの名前が覚えにくい」「謎が多すぎる」「ストーリーが複雑すぎる」などと述べただろうと思います。

「マイナス点ばかり」という印象を受けたわけです。

たいしておもしろいとは感じませんでした。

ところが、マイナスが集まればプラスになるものなのでしょうか、初めはおもしろさを感じなかったものの、借りた数冊を読み終えたあとに余韻がのこりました。
ずいぶん時間が立ったのち、結局、続きを購入して読みだし、その後も読みつづけています。

第13巻目以降はほとんど巨人の群れが登場しなくなり、人間ドラマ、政治ドラマ、に変わったのですが、まったくかまいません。
これからも読んでゆくでしょう。

とにかく独特の魅力をもったマンガです。

同マンガはすでに小説やアニメさらに実写映画にもなっています。
映画では長崎市の「軍艦島」がロケ地につかわれ、長崎市民であるわたしには嬉しいことでした。(注)

それにしても、学生が『進撃の巨人』を勧めてくれたころは、まだ当該マンガは世間の評判になっていませんでした。

そうした状況下で「おもしろい」と感じたその学生は、マンガに対するセンスを有していたのでしょう。

おもしろさに気づけなかったわたしはセンス不足だったみたいです。

(注)軍艦島は、正式名称は端島(はしま)なのですが、遠くから眺めると軍艦のように見えるため、上述の呼ばれかたをしています。2015年に「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして「世界文化遺産」に登録されました。

金原俊輔