『孤塁の名人:合気を極めた男・佐川幸義』、津本陽著、文春文庫、2010年。

心理学者としてのわたしは、科学的根拠を重視する「行動主義」という学派に身を置いています。
大学の講義でも学生たちに向かって根拠に基づいて考えることの大切さを力説しています。

とはいえ、世の中、根拠とばかり言ってはいられません。

上掲書によれば、大東流合気柔術の達人であった佐川幸義氏(1902~1998)は、高齢になって寝込んでも片手で屈強の弟子たちを投げ飛ばしていたそうです。
しかも、皆、はじけるように投げられた由です。

著者は目撃したそうですし、著者だけではなく他の人々も別の本に同様の目撃談を書いています。

信じられない話です。
信じられないけれども、むかし合気道を学んだわたしにはどうしても一笑に付すことができない、できれば微妙に信じたい、気もちがあります。

合気道に限らず、武道の世界では不思議なことが多々あるみたいです。

金原俊輔