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『台湾有事と日本の安全保障:日本と台湾は運命共同体だ』、渡部悦和、尾上定正、小野田治、矢野一樹著、ワニブックスPLUS新書、2020年。

タイトルを裏切らない内容です。

本書をご執筆された4名の皆さまは全員が自衛隊OB。

おかげで迫真の話ばかりでした。

中国が台湾に何かを仕掛けた際に日本はどう動くべきなのか、そういった常に想定しておくべき事柄が語られています。

わが国は台湾の往年の宗主国であり、台湾は歴史上一貫して親日的である、という事実だけではなく、日本にとって台湾は紛(まご)うかたなき生命線でもあるので、一旦緩急のときに「動かない」という選択肢はないわけです。

緊要な問題が記された大著と考えます。

ただし、まるで作戦報告書であるかのような文体だったため、やや無味乾燥で、わたしごとき素人には読むのがつらくなる局面がありました。

さて、

日本と台湾はともに地震や台風などの自然災害が多い国であり、東日本大震災のときには台湾の政府機関、個人、慈善団体等から集まった253億円の支援金が日本に贈られました。(pp.188)

引用文にはふたつの大切な事項が含まれています。

ひとつは「253億円」。

東日本大震災時に台湾が送ってくださった義捐金が200億円から250億円ぐらいだった……、わたしは左記のことは知っておりました。

しかし、もっと絞り込まれた金額は把握できていませんでした。

253億円という具体的な数字に出会ったので、今後はこれを念頭に置くようにします。

もうひとつは、台湾を「国」と書いていること。

わが国の政府および自治体それにメディアは中国にたいする遠慮で台湾を「地域」と表現する場合が多いのですが、さすが元・自衛官のかたがたは腹が据わっていらっしゃる。

敢然として国家あつかいをなさいました。

むろんわたしも国と思っています。

ところで、台湾有事にあたり日本側の動きを(自国や台湾に不利となる形で)縛ってしまうのは、日本国憲法です。

自衛隊は国際法上は軍隊であり、世界中で軍隊として認識されていて、国内と国外における認識のギャップには大きなものがあります。従って、速やかに第九条を改正して、自衛隊を軍隊として認める必要があります。(pp.288)

わたしはご主張に賛成いたします。

今回『台湾有事と日本の安全保障』を読過したからではありません。

もともと賛成派でした。

金原俊輔

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