最近読んだマンガ22
『特命係長 只野仁 ファイナル:とまどう人』、柳沢きみお作画、楽楽出版、2020年。
わたしにとって柳沢氏(1948年生まれ)は、和光大学の先輩です。
ただ、氏は当方より7歳年長なうえ、和光を中退されていて、わたしはわたしで(恥ずかしながら)3浪して入学したため、在籍の時期が異なりすぎ面識はありません。
それでも親近感をおぼえます。
わたしは、彼の作品のなかでは、
柳沢きみお作画『大市民』、日本文芸社(2006年)
シリーズが好きです。
同シリーズは、前掲の日本文芸社のみならず、ぶんか社、講談社、双葉社、いろいろな出版社が発行してきました。
きっと人気があったのでしょう。
長崎市の古書店でもしょっちゅう見かけます。
あと、
柳沢きみお作画『男の自画像』、小学館(1988年)
も、捨てがたい……。
さて『特命係長 只野仁』。
大手広告代理店の窓際係長である只野が、会長から直接の指令を受け、ひそかに、会社内外で生じたむずかしい問題の解決を図る。
むずかしい問題とは、金、セックス、出世争い、犯罪。
そして只野にかかれば毎度すべてが解決する。
この主人公は、冷静、イケメン、長身痩躯、さらに空手の達人です。
おかげで、特命で動く謎の男として、係長としても、たいそうモテる、モテまくる。
書いていて空しくなるほど都合が良いストーリーと言わざるを得ません。
連載当初は新機軸なマンガだったかもしれないものの、いまやマンネリ化してしまっているように思われます。
今回の『特命係長~』は、絵も少々乱雑でした。
ご高齢になられ、柳沢氏は疲れていらっしゃるのではないでしょうか……。
なお、本書の第14話「3時間」内にて只野が発したセリフ、
たしかにネットで
生活が楽と便利になってますが
楽と便利って
味わいがなくなるばかり……というマイナスがついてきますよ(pp.273)
なんだか『大市民』山形鐘一郎先生のお言葉みたいで、わたしはニヤリとしました。
金原俊輔