最近読んだ本510:『変見自在 バイデンは赤い』、高山正之 著、新潮社、2022年

『週刊 新潮』に連載中の「変見自在」シリーズが単行本化されたものです。

わたしは、単行本や文庫となった同シリーズのうち、これまで5~6冊ほど読了し、

「最近読んだ本367」

「最近読んだ本406」

2冊を当コラムにて取りあげました。

著者(1942年生まれ)の歴史知識および政治知識、産経新聞社ご勤務時代の体験、どのトピックも興味深く、勉強になります。

日本への愛着や誇りが滲みだす語り口で、好感を抱いていました。

とはいえ……。

誠に失礼ながら、おなじ話題の繰り返しが多すぎます。

真珠湾攻撃にまつわる逸聞、ダグラス・マッカーサー元帥の無能と怯懦(きょうだ)、GHQの日本人洗脳、白人がもっている有色人種への強い差別意識、朝日新聞社の記事捏造、史実を無視した中韓の反日、欧米の侮日映画・侮日記事の悪質さ、等々が、もういくたび登場したでしょうか?

ひとつひとつは知悉し考察すべき重要な事項で、そこに疑問はありませんが、なにしろ反復が収まらず、わたしは以前読んだ話が出てきたらページを飛ばすようになりました。

新しいエピソードが述べられるときには、ホッとするぐらいです。

しかも、第二次世界大戦などで諸外国がおこなった残虐行為がしばしば描写され、そういうのが苦手な当方はげんなりしてしまいます。

こうした傾向がつづく以上、次作を購入することはないでしょう。

残念です。

本書の「正確に報じられない『難民問題』の舞台裏(pp.147)」項、「TOKYO2020の真意(pp.179)」項、などにおける情報は、わたしにとって初耳でした。

真相を教えていただき、ありがたく思いました。

最後に『バイデンは赤い』というタイトルに関する箇所を引用しておきます。

ジョー・バイデン氏(1942年生まれ)が第46代アメリカ合衆国大統領に就任なさる際、高山氏のご指摘は、

バイデンが日本に何をしたか忘れたのか。(中略)
オバマの副大統領時代に中国が尖閣上空に勝手に防空識別圏を敷いて立ち入り禁止を言い出した。バイデンは北京に飛び習近平と会って中国の主張を承認した。
中国は返礼に彼の息子ハンターの投資会社に15億ドルを出資した。
尖閣も己の魂も中国に売った男が米大統領になる。(pp.48)

中国寄りのバイデン氏だから「赤い」わけです。

この引用文も何度か目にしました……。

金原俊輔