最近読んだ本533:『韓国民主政治の自壊』、鈴置高史 著、新潮新書、2022年
鈴置氏(1954年生まれ)は、日本経済新聞社に勤務時代、ソウル特派員だった由です。
韓国通でいらっしゃるわけで、そんなかたのご執筆による上掲書の特徴は、韓国とベネズエラを比較しつつ論を進められた点。
比較のきっかけは、
野党第1党だった保守の自由韓国党は2019年9月20日、「ベネズエラ・レポート」を発表した。「文在寅政権の政治手法や政策はチャベスやマドォロとそっくりだ」との内容だった。(pp.135)
韓国の保守が「民主主義が壊れるぞ」「ベネズエラになるぞ」と左派の跋扈(ばっこ)を警告しても、うまくいかないのも当然かもしれない。韓国にもベネズエラ同様に「反米」や「反市場原理主義」の空気が広がっているからだ。韓国は「もともとベネズエラ」なのである。(pp.145)
そして「ベネズエラ化(pp.138)」以外の諸要因も相まった結果、
韓国を相手にしなくなったのは日本だけではない。米国も北朝鮮も、そして中国からもまともに扱われなくなった。(pp.165)
文在寅政権の無謀な外交で韓国は四面楚歌に陥った。(中略)「不誠実な国」と見切られた以上、政権が代わろうと周辺国の信頼を取り戻すのは難しい。(pp.148)
とのことでした。
韓国の外交は泥沼に嵌(は)まりだしている模様です。
さて、「まともに扱われなくなった」「周辺国の信頼」喪失という問題を押し広め、これより韓国に関連するもっと下世話な事柄について、私見を述べさせてください。
わたしは、韓国人の国民的な美容整形への傾倒ぶりに世界が驚きあきれているのではないか、「まとも」と評価していないのではないか、民度に「信頼」を寄せていないのではないか……、こう想像していました。
けれども、想像は当たっていない可能性がある、と考え直したところです。
考え直した理由をふたつ記します。
ひとつは、欧米人・アジア人などにおけるタトゥー率の増加。
当方がむかしアメリカ合衆国在住だったころ、よく街で(腕、首、ふくらはぎ、に)タトゥーを入れている人と遭遇したものの、遭遇したのは極端なほど頻繁ではなかった印象があります。
しかるに、現今の欧米・中南米・豪・アジアの芸能人やスポーツ選手や来日観光客たちを見れば、タトゥーなしのほうがめずらしいぐらい。
グローバルにタトゥーが流行っている状況ですから、海外の人々は、おなじく身体髪膚(しんたいはっぷ)を敢(あ)えて毀傷(きしょう)している美容整形を容認し、韓国人への違和感など有していないかもしれない……、このように気づきました。
もうひとつは、アメリカ人における歯列矯正です。
アメリカでは、歯列矯正は親が子に果たさなければならない養育上の義務と受けとめられており、そのため同国において多数の少年少女が口内に矯正器具を装着していました。
たしか林真理子氏(1954年生まれ)だったと記憶しますが、以前、歯列矯正と美容整形がどう違うというのか、違わないではないか、こんな見解をお書きになりました。
いわれてみればたしかにそのとおりで、ふたつに明確な線引きはできません。
ならば、韓国人こぞっての美容整形受療、アメリカ人からは大して度外(はず)れた現象と見なされていない可能性に思い至ったわけです。
感じたことは以上。
最後に『韓国民主政治の自壊』は、ベネズエラに関し何も知らないわたしには、新鮮ながらも不得要領(ふとくようりょう)な内容でした。
無知は自分自身のせいであって、著者の落ち度ではありません。
ただ、書の構成が良いとはいえず、もっときちんと話を組み立ててほしかったです。
金原俊輔