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『米中ハイテク覇権のゆくえ』、NHKスペシャル取材班著、NHK出版新書、2019年。

アメリカ vs 中国。この二つの大国が、なぜ、これほど激しい「貿易戦争」を繰り広げているのか?
対立の背後には一体何があるのか?(中略)
私たちの目にとまったある報告書があった。アメリカ国防総省傘下の研究施設が作ったもので、そこには、アメリカのAI企業に対する中国からの投資額が5年間で20倍にも増えている実態が報告されていた。
AIや「5G」といったハイテク分野で極端な動きを見せる中国の真意とは-?(pp.3)

『米中ハイテク覇権~』は、こうした疑問・問題意識のもとで取材活動をおこなった結果が、手際よくまとめられたレポートです。

手際はよかったものの、読むわたしにおいてハイテクを理解する力が乏しかったため、恐縮ながら「難解だった」と言わざるを得ない読書になりました。

そんな低レベル極まる者ですら「ハイテク覇権」という言葉でイメージ可能だったのは、中国の通信機器大手「ファーウェイ」の一件。

トランプ大統領は2019年5月、強硬姿勢に転じた。(中略)
関税引き上げの手続きに入った上、アメリカの企業に対して、政府の許可のない、ファーウェイに電子部品を販売するなどの取引を禁止すると発表した。ファーウェイの経営を揺るがす圧力強化は、米中貿易交渉で中国から譲歩を引き出す最大のカードとも見られ、緊張が高まっている。(pp.125)

2019年9月現在、進行中の事案です。

ファーウェイにたいしては、貿易の面にかぎらず「安全保障などの観点(pp.124)」からもアメリカ側の危機意識が強く、この事案は長期化すると予想されます。

もうひとつ、わたしが他の書物をとおして知識をもっていたのは、いわゆる「海亀」でした。

海亀とは「欧米の大学や大学院で学び、現地の企業で経験を積んだ後、中国に帰ってきた若者たち(pp.19)」を意味し、

中国で急増している人材だ。
背景には、海外で学び、経験を積んだ優秀な人材を呼び戻して、国内の発展に生かそうという中国の政策がある。(pp.19)

本来は別に悪いことではなくて(日本も明治維新前後からおこなってきた)国を発展させるにあたり必須の取り組みです。

しかし、中国の場合、深刻な疑惑が付随しています。

それは、「アメリカで獲得した知的財産を盗み、活用しているのではないか」というものだ。(pp.24)

上の問題は、

アメリカが警戒する中国への技術流出は、どこからが盗用で、どこからが経験としての活用なのか、白黒で線引きすることの難しさを感じた。(pp.25)

障壁があって対応が後手にまわりがち。

アメリカ政府は切歯扼腕(せっしやくわん)してきたことでしょう。

中国人留学生や移民の受け入れに不寛容になってしまう気もちがわからないではありません。

以上、わたし自身に読み解く素養が欠けており、これぐらいの『米中ハイテク覇権~』評しか書けませんでした。

今後の世界情勢・社会情勢を考えるうえで非常に役立つ内容を含んでいただけに、全12名の執筆陣へお詫び申しあげます。

金原俊輔

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