最近読んだ本517:『小さな町の精神科の名医が教える メンタルを強くする食習慣』、飯塚浩 著、アチーブメント出版、2022年
精神科クリニックの院長でいらっしゃる飯塚氏(1967年生まれ)が執筆された本です。
前半50ページほどは専門的で難しかったのですが、やがて読みやすくなりました。
種々の栄養素や食べ物が心身に良いと紹介してくださっていて、有益。
けれども読書中、少々疑問をおぼえたところがありました。
以下、そのことに関して書きます。
まず、一般向けの読物であるからなのか、ご主張の基礎になっている参考文献が明記されていません。
これでは真偽を判断するのが困難です。
つぎに、飯塚氏がメンタルに有効と推奨なさる医療のうちのいくつかを、わたしは何だか不安に感じました。
例として「オーソモレキュラー医学(pp.196)」。
医学的検証を十分に経ている治療法ではないのでは?
「カンナビノイド(医療用大麻)(pp.350)」についても、なにしろ「大麻」ですので心配なものの、こちらのほうは臨床研究が積み重ねられ、
500名近くの医療専門家(医師・歯科医師・獣医師)を擁する大きな研究会(後略)。(pp.380)
もある由。
ただ、個人的には、
それでは大麻草成分がなぜ「万能薬」と呼ばれるほどの効果を発揮するのか(後略)。(pp.354)
「万能薬」などない……、こう想定しておくのが無難と考えています。
ついでながら、
わたしはお寿司など糖質の比較的多いものを食べに行くときは、ギムネマのサプリメントを事前に飲んで行きます。これはアーユルヴェーダでは糖尿病の薬として使われたりもするものです。(pp.264)
糖質の摂りすぎを避けたいのならば、お寿司を控えめに食べれば済む問題でしょう。
サプリメントを飲んで寿司をたくさん注文するよりも安上がりなはずです。
ここまで書いてきたとおり『メンタルを強くする食習慣』には引っ掛かる箇所が散在していました。
とはいえ、全編、患者さんに役立とうとなさる著者の責任感が漂い、それはご立派と思います。
金原俊輔