最近読んだ本559:『年をとったら驚いた!』、嵐山光三郎 著、ちくま文庫、2022年

著者(1942年生まれ)は多才なかたで、当方が若かったころ、編集者・文筆家・芸能人として活躍しておられました。

上掲の『年をとったら驚いた!』原著ご執筆時は、72歳だった由(2023年1月現在は、81歳)。

高齢期をむかえた嵐山氏が「ジジイ(pp.22)」「老人(pp.26)」としての発見や実感を語られたのが本作品です。

67歳のわたしは氏に比べると若年ですけれども、書中、身につまされる箇所が少なからずありました。

60代の高校同窓会のときは病気が話の中心だったが、70代になると話題は葬式とお墓になる。ああ、やだやだ。(pp.21)

わたしもよく同窓会に出ており、ただし、いまのところ皆でお墓談義などはおこなっていません。

今後いつしか話題の中心となってゆくのでしょうね……。

友人がどんどん他界する。(pp.26)

わが世代は「どんどん」でこそないものの、同級生たちがひとり、またひとり、帰らぬ旅に出ています。

つらく悲しいです。

自分の人生をふりかえってみると30代で気合いが入り、40代はやりたいことだらけで、欲にまみれて生きてきた。目がギラギラして野犬のようだった。70代は病気がちになり、体力も企画力も劣(おとろ)えた。50代がいちばんよかった。
60代になると気持ちが淡白になって、金を儲けようという気が薄れた。(pp.104)

細かな部分は異なりますが、ご述懐「50代がいちばんよかった」は、「いわれてみれば、たしかに自分の場合もそうだったかもしれない」と感じました。

フツーの中産階級の家の子に生まれ、ボンクラな小学校時代、チンピラな中学生、アンポンタンな高校生時代をへて、ペラペラの大学生になり、就職してからは目がくらむほどの闘いの日々を過ごした。(pp.160)

紆余曲折を経たご履歴が著者みたいな才人を創りあげることに寄与したのでしょう。

それにしても引用文はなんだか懐かしそうで、こんなふうに旧時を追懐してニヤッとするのが老後の時間つぶしのひとつなのかもしれません。

以上、『年をとったら驚いた!』は、辛気臭い内容でなく、むしろユーモラス、そして「そりゃあ誰だって年をとる」「老いるのは避けられない、仕方がない」といった達観へ至らせてもらえる読物でした。

最後です。

題名にちなみ、わたしがエッセイ中で最も「驚いた」記述を書くと、著者の御母堂様が本書文庫化のとき、ご健在でいらした件。

老母ヨシ子さんは105歳でまだまだ念力で生きております。(pp.56)

さらなる長寿を保たれますよう祈念申し上げます。

金原俊輔