『パナマ文書:「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う』、渡邉哲也著、徳間書店、2016年。

2016年4月、大量の機密情報が漏洩したうえ、国際機関が情報の内容を公開したことによって、世界に衝撃が走りました。

この情報が「パナマ文書」と呼ばれます。

なぜ衝撃だったかというと、パナマ文書が非合法も含んだ金融取引情報であり、当該取引に大物政治家・富豪・有名企業が関与していたためです。

パナマ文書は、もともと、中米のパナマ共和国にある「モサック・フォンセカ」という法律事務所が作成しました。

同事務所はオフショア取引において世界第4位の実績を有しており、したがって情報の信憑性は高いと考えられています。(注)

わたしが上掲書を手に取った理由は、当初はあれほど騒がれたにもかかわらず、2017年2月現在、文書にまつわる続報を見たり聞いたりしなくなっている状況に気づき、疑問をおぼえたからです。
だれか(あるいはどこか)がメディアに強い圧力をかけているのではないか、と訝りました。

以上は勘ぐりに過ぎず、たんにわたしが続報の存在を知らないだけなのかもしれませんが。

いずれにしても「すこし知識をもっておこう」と思いました。

渡邉氏(1969年生まれ)が過去お書きになった評論は分りやすいものが多く、わたしは氏の文章力を信頼しています。
ですので、この本を選びました。

しかし、今回ばかりは金融の専門的な話題に終始し、門外漢にはかなり難しかった……。
あつかったテーマがテーマですから、これは書き手のせいではないでしょう。

もし、パナマ文書報道に圧力がかかった結果続報が出なくなっているとしても、著者が同書を上梓されたのは2016年5月とやや古いため、書中にその方面の話は書かれていませんでした。
これも仕方がないことです。

本を読み終え、自在に金融を解説された渡邉氏の造詣の深さに頭が下がりました。

ところで、パナマ文書事件の報道が始まったころ、わたしは会社スタッフたちに「長崎メンタルヘルス社の社名がパナマ文書に記載されていないことは断言できます。心配しないように」と伝えました。

弱小零細企業である弊社ごときの名など載っているはずがありません。

社内でのパナマ文書にたいする関心は、わたしのつまらない「おやじギャグ」に結実し、そしてだんだん薄れてしまいました。

(注)オフショアとは、そこに居住していない外国人や外国企業に向けた金融サービスのこと、なのだそうです。

金原俊輔