『それでも気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』、村瀬秀信著、交通新聞社、2017年。

チェーン店での飲食を愛してやまない著者(1975年生まれ)が、これまでに足を運ばれたあちこちのお店を紹介する「グルメ・エッセイ」です。

前作『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』、講談社文庫(2016年)がおもしろかったので、上掲書も求めました。
求めて良かったです。
今回は前作以上のおもしろさでした。

あつかわれた店舗は、登場順に「松屋」「モスバーガー」「ジョナサン」「いきなりステーキ」「ミニストップ」といった、計36軒。

うち、わたしが上京した折によく利用しているところは「名代 富士そば」「いわもとQ」「磯丸水産」「嵯峨谷」の4店です(蕎麦好きなので、立ち食い蕎麦屋さんが多いです)。

何度か行ったことがあるのは「無添くら寿司」「ミスタードーナツ」「さくら水産」「大阪王将」「ねぎし」など。

本書を読んでいると各店に関する記憶が甦ってきます。

わたしの場合、神保町や池袋で書籍を買い、どこか昼食または夕食をとれるお店に入っては、さておもむろに買った書籍を開き、読みながら食事するのが至福のひとときで、それをしている際の非常に幸せな気分も甦ってきました。

村瀬氏は牛丼がお好きみたいです。
そのため「丼太郎」の項ではたくまずして文章に力がみなぎりだします。

画期的な安さで提供されていた牛丼は、東京に出てきたばかりの貧乏人にとって、「肉が食える」数少ない機会だった。あの時の空腹に染み渡る肉の旨みは、人並みに食えるようになってから口にしたどんな美食にも代えがたく。(pp.213)

こんなふうでした。

本シリーズは、おそらく読者の「食欲をそそること」のみをめざしたものではなく、「興味をそそること」をも目的にしているのでしょう。

そう感じたのは、おいしさが語られるいっぽうで、「外食業界ウラ話」的な情報も詳述されているからです。

読み終えたわたしは、いつの日か「メヒコ」「ゴーゴーカレー」そして「すしざんまい」にお邪魔したいと思いました。

どこかで本を買ったあと……。

金原俊輔