『地政学で考える日本の未来』、櫻井よしこ著、PHP文庫、2017年。

櫻井氏(1945年生まれ)は長らく第一線で活躍されている論客です。

執筆された著書も少なくありません。

わたしは同氏が上梓されたすべての本を読んだわけではないものの、自分なりに国際情勢を理解したい際には、しばしば、氏の何らかの著作物に目を通してきました。

各種問題の基本となる文書類・資料類を精査されたうえでご意見をお書きになっているため、とても参考になります。

この『地政学で考える~』は、外側から日本に迫りつつある危険、そして日本自体が有している内なる危険、以上2種類に関し警鐘を鳴らした一冊です。

深い洞察および高い説得力でした。

著者は、日本がとるべき方向性のひとつとして「東南アジアや世界各国から多くの学生を招くことが大切(pp.265)」旨のお考えを示されています。

日本政府が経済的に援助し、日本をアジアの学問研究の中心地、そして自由な言論の中心地としていくことです。もちろん日本国内の教育改革は必須で、OECD加盟国で最低レベルとされる教育予算を高めて行くことです。(pp.265)

そのためには、大学や大学院の秋入学制度、大学・大学院における英語での講義、アジア諸国の言語を話す事務スタッフの配置、留学生の日本企業への就職促進など、いろいろな環境整備が必須となりますが、有益なご指摘といえるでしょう。

さらにつづけて、

日本の強みは、経済力のみならず、その深い文明・文化にあります。李登輝元総統をはじめ台湾の人たちは、日本人の節度と慎ましさ、「強気きを挫き、弱きを助ける」といった「日本精神」を称賛しています。幕末から明治にかけて日本を訪れた欧米人は、日本人の心の優しさ、教育の高さに驚嘆し、安全で清潔で幸せな社会に感動しました。(中略)こうした文化・文明、価値観を通しての主張にもっと力を注ぐべき時です。(pp.265)

このようなお考えも述べられました。
心から賛同します。

上記を実現させる方策として、

日本国民が自らの力で人生を切り拓き、祖国を守り、立派な日本人として一生を全うすること、そのような人材を育てる教育を実現していくべきです。(pp.330)

教育のうち、わたしはまず家庭教育の見直しをすべきではないかと考えます。

ところで、本書において東南アジアの話が出てきたので、自分自身の体験を書きます。

わたしはこれまで出張や旅行で多数の東南アジア国家を訪ねました。

行った先で反日的な対応を受けたことは一度たりともありません。
むしろ「大歓迎」という感じでした。

また、現地で見かけた日本人旅行者たちは、みなさん先方の文化を尊重し敬意を払いながら、観光を楽しんでいました。

わたしは以上より、アジアにおける日本の存在感が小さくはない状況を実感し、いまの日本人がそう恥ずべき民族ではないことも知りました。

東南アジアと日本は仲良くやってゆけるのではないかと思った次第です。

金原俊輔